Aubrey Vincent Beardsley~From the United Kingdom
2025.04.12
オーブリー・ヴィンセント・ビアズリーはイギリスのイラストレーター。25才のとても短い生涯でしたが、独特な世界を表現したビアズリーのその画力は今なお色褪せることはありません。その芸術スタイルがアールヌーボーのため、ビアズリーがイギリス人の認識が何となく長いことないままでしたがイギリス出身の画家でした。
20才でパリを訪れ、ロートレックのポスターや日本の浮世絵に感化されます。最初に依頼された仕事が「アーサー王の死」の挿絵。モノクロームでアーサー王の世界を描きました。ビアズリーを有名にしたのはオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵。サロメが欲しかった洗礼者ヨハネの首はモノクロームで描かれていても、その血までもが生々しいのはなぜでしょう。けれどビアズリーのグロテスクな表現は、その時代の出版社からはNGを出されてしまいます。
細部までビアズリーはこだわりを表現しています。曲線の美、繊細なタッチ、白と黒のバランス、そして凄まじく異様でエロティックな世界。それは21世紀の今であっても斬新、他に類を見ないものです。そしてビアズリーのモノクロームの世界は、日本の漫画文化の源流を感じます。文字はありませんが全ては漫画の扉絵のようです。
その私生活も謎めいていました。同性愛者の噂、女優の姉との禁じられた行為もあったとか、その私生活は明らかではありません。ビアズリーのその目には何が見えていたのでしょう。そして何をしたかったのでしょう。そして今の多様性の時代に生きていたら、どこへ向かって行ったのかその興味を強く感じます。ビアズリーは結核に罹っていて、終生その病に苦しみました。1898年3月16日、フランス南東部のマントンでビアズリーはその生を終えます。短すぎる25年の人生。その死のそばには母と姉がいたそうです。
耽美的、退廃的とも言われたビアズリー。彼がアメリカの作家と創刊した「イエローブック」のイラストはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で観ることができました。「イエローブック」はイギリスの19世紀末を代表する雑誌だったそうです。特にビアズリーのイラストの功績は大きかったようです。ロンドンの美術館や博物館にはビアズリーの作品が展示されていますので、足を運んでビアズリーの世界を目の当たりにしてみてください。