Toilette~From the United Kingdom

2024.11.11

英国史雑学

トワレットの元々の意味はトイレの水。フランス語から来ています。オードトワレは香りがほのかな香水、こちらはお聞きになったことはありますね。女性が身支度する時に使う芳香水を呼んだ言葉が、「トワレット=人前に出るための身支度」として使われていくようになりました。

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トワレットサービスのセットはおもに金か銀製。鏡やポットとボウル、燭台、さまざまな箱と瓶、ブラシ、針刺し、帽子に使うハットピンなどがテーブルに整えられています。このハットピンはデザイン性の高いものが造られていきました。豪華な身支度セットですから、結婚祝いの贈り物も多かったようです。磁器製のトワレットサービスのセットもあり、1853年にヴィクトリア女王は夫君のアルバート公からクリスマスプレゼントとしてミントン社製のものが贈られています。その磁器のトワレットサービスのセットは今でも、ヴィクトリア女王が亡くなったワイト島のオズボーンハウスに残されています。

かつての高貴な女性たちの身支度は、朝起きるとメイドたちが部屋にぬるま湯の入ったポットを運んでくるところから始まります。ボウルに湯を入れてもらい洗顔し、ナイトガウンを脱いで着替えをします。高貴な女性たちにはレディスメイドと呼ばれる侍女が一切の世話をします。レディスメイドはワードローブや宝飾品の管理をする上級の使用人。高貴な女性たちは時間で着用する服も違います。着替えと身支度だけでも大変です。

朝に着替えるモーニングドレスは、くるぶしが見えない程度の長さのフィットしたドレスで、時にはレースキャップも着用したようです。家にいる時の正装だったのでしょう。どこかに出かける時はアフタヌーンドレス、これは正式な昼間の服装になりました。モーニングドレスもアフタヌーンドレスも露出は控えめで、午前中に宝飾品はつけなかったようです。夕方から夜はイブニングドレスで少し肌の露出も増えてきます。グローブ―手袋も着用します。こんな生活に憧れもありますが、毎日のことなので実際にはやりたくはありません。 舞踏会などのイベントがある会場では、女性用トワレットをたくさん用意しなければならなかったことでしょう。ラヴェンダー水は必須のアイテムで、この香りで気分を高めていたようです。髪を束ねるピンも美しく細工されていたものがあったそうで、美しく身支度する女性たちの姿はいつの時代も変わらないようです。

※写真の画はデビット・ウィルキーの「結婚式の身支度をする女性」と、ケンジントンパレスで見つけた男性用トワレレットサービス。男性用にはやはり髭剃りが必需品です。