Chatsworth House~From the United Kingdom

2025.03.15

英国史雑学

チャッツワースハウスはイギリスのデヴオンシャー公爵のカントリーハウス。ここは最初キャベンディッシュ家のもので今の邸宅の礎を築いたのが、エリザベス・ハードウィック、ハードウィックのベスと呼ばれた女性です。橋の向こうに見える美しい今のカントリーハウスの佇まいは、多くの改修を経たものです。ハードウィックのベスがどうやってこのカントリーハウスを建てたのか、そしてその人生をちょっとだけご紹介していきましょう。

裕福ではなかった家に生まれたハードウィックのベスは、何度かの結婚で財を手に入れます。2人の妻に先立たれたウィリアム・キャベンディシュとの再婚で、夫の生まれ故郷のダービーシャーの土地を購入してもらいます。そこにチャッツワースハウスの建設をベスは計画しました。ダーヴェント川の岸の美しい渓谷に建つ邸宅は外から見ているには美しい場所ですが、建設するのは大変なこと。川の水を抜き、池を造成したようです。夫のウィリアム卿が亡くなって3年後、1560年にチャッツワースハウスは完成。ハードウィックのベスの念願の家ができあがります。

ハードウィックのベスの4度目の結婚相手は、第6代シュルーズベリー伯爵。前夫ウィリアム卿のキャベンディシュ家はデヴオンシャー伯爵から、1694年にデヴオンシャー公爵に叙せられています。ハードウィックのベスはシュルーズベリー伯爵没後、同じダービーシャーの丘の上にハードウィックホールを建設してそこに移ります。「壁よりガラスの多い」この邸宅。財と夢のような邸宅を手に入れたハードウィックのベスは、その才を活かし最も裕福な女性となりました。

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チャッツワースハウスはその後初代デヴオンシャー伯爵へと受け継がれます。その外観も見事ですが、チャッツワースハウスの絵画や彫刻のコレクションも見ごたえがありそうです。そして広大な庭園は何度も改修が重ねられ、ハードウィックのベス当時の庭園より拡張されました。第9代デヴオンシャー公爵とそのお孫さんたちの写真を見たことがあります。塀となった温室は緩やかな傾斜地に建てられ、そこにデヴオンシャー公爵のお孫さんたちが背の順に並んでいます。一番小さなベービーはデヴオンシャー公爵がしっかりと抱きかかえているほほえましい1枚。公爵のご一家は大邸宅を有していても、ごく普通のご家庭に見えました。

このチャッツワースハウスにはスコットランド女王のメアリ・スチュワートが滞在し、保護されていたこともありました。メアリ・スチュワートはその人生のほとんどを指定された城に幽閉されていました。その1つがチャッツワースハウスで、ハードウィックのベスとの交流もあったようです。映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」の主役のメアリー女王です。あの映画にはハードウィックのベスも登場しています。歴史好きの方は今一度お確かめを。