Gustav Holst~From the United Kingdom
2024.11.23
今では日本語の歌にもなっている「ジュピター-木星」。この曲はグスタフ・ホルストによって作曲された組曲の中のひとつです。グスタフ・ホルストは1874年イングランドのグロースターシャーのチェルトナム生まれ。この地は保養地として裕福な人々のためのリゾート地としても有名です。人気の観光地コッツウォルズの拠点としても、今でも多くの観光客が訪れています。
ホルストの一族は音楽家で占められていました。父はチェルトナムで教会のオルガン奏者と聖歌隊指揮者を務め、ホルストにもその道を望まれます。ピアニストとしての教育を受け、王立音楽大学の奨学金をやっと得て入学しますが、学ぶより作曲の道を選ぶことにします。ホルストの作曲の評価も高まりますが、生活のためには教師も続けます。
その名からドイツかオーストリアの作曲家だと思い込んでいたホルストでしたが、実はイングランドの作曲家。ホルストは占星術に関心を抱き、「惑星」の作曲を手がけます。組曲「惑星」は、1914年から3年にわたって作曲された作品で、「火星」、「金星」、「水星」と続き、「木星」に入ります。そして「土星」、「天王星」と「海王星」の7つの楽章に仕上げました。
特に木星の中の1節は「I Vow to Thee, My Country-我は汝に誓う、わが祖国よ」と題され、イングランド国教会の讃美歌や愛国歌として歌い継がれています。ダイアナ妃はこの歌がとてもお好きで、チャールズ皇太子との結婚式でも歌われ、その16年後の突然の逝去後の葬儀でもこの歌で送られました。
でもなぜ「木星」が鼓舞する歌へとなっていったのでしょうか。ホルストも「木星」には喜びを込めた作曲を行っています。私たちの太陽を周回する惑星は8つ、準惑星も8つ以上あるようです。木星はガスに囲まれた巨星で、太陽系で1番の大きさを誇ります。明けの明星が金星、夜半の明星が木星と呼ばれ、その大きな輝きを空に放っています。そんな木星だから曲と歌につながっていったのでしょうか。夜空を見上げて木星を探してみたくなりました。
※写真はホルストの生誕地チェルトナムの公園にあるホルスト像とホルストの肖像写真。2024年はホルスト生誕150年。チェルトナムのホルストの生誕のヴィクトリアンハウスは博物館になり内部を公開しています。