Barley~From the United Kingdom
2024.08.08
このbarleyってあまり聞き慣れない英語ですが、日々の生活でよく目にしている製品の元です。今では東京都内の中刷りや窓上の電車広告はアルコールか転職サイトばかり目立ちますが、バーリィは大麦、ビールやウィスキーの原料になっているものです。
大麦は小麦よりその歴史は歩く、紀元前9000年頃にはあったようです。大麦を意味する古英語はbere。この言葉はスコットランドの北部では残っていて、形容詞bærlicから転訛していったようです。この形容詞が「大麦の」意味になっています。世界中で栽培されている大麦は、生育が早く干ばつにも耐えられる糧として、古くから人々の食料となっていました。
ビールは最古の歴史を持ち、13000年前にその形跡が残されているようです。大麦の麦芽からビールを造り出し、紀元前3000年にはゲルマンとケルトの人々によって、ヨーロッパ中で呑まれるようになりました。ウィスキーの誕生はもっと遅く、アイルランドとスコットランドで蒸留酒が15世紀頃に造られ始めていったようです。けれど蒸留された白いウィスキーが琥珀色になるまでは、とても長い月日を要します。樽に詰められて待たなければならないのです。最低5年、10年、15年と、長い月日を経たウィスキーはとても高価で、サントリーウィスキーの山崎50年が8000万円で飾られているのを見たことがあります。
あと大麦を使った飲み物に麦茶があります。殻がついたまま焙煎した大麦の種を、湯に入れて煮出してそれを冷やしたものは、子どもたちの夏の飲み物の代表でした。体温を下げる効果があり、またカフェインが入っていないので幼児たちにも安心して飲ませられます。麦茶で使う大麦はおもに六条大麦。英名はsix-row barley。古英語のbareが残るスコットランドの北部では、六条大麦が栽培されているそうです。
スコットランドに出かけた時に大麦畑を見たいと思っていたのですが出会う機会はなく、先日北海道のビール園で小さな大麦畑を偶然見つけます。ここの大麦は4月下旬に種まきをし、6月下旬に実がつき始め、収穫は8月中旬と看板に書かれていました。ビール園の大麦は二条大麦で、ビール麦と呼ばれているそう。大きな粒と高い栄養価の品種でビール造りをしていました。
ちなみに小麦はwheat、小麦粉はflour。かつてはメリケン粉などと呼ばれていましたが、あれはアメリカ人をアメリカンではなくメリケンと聴き取ったことからメリケン人になり、アメリカの小麦粉だからメリケン粉になったようです。またうどん粉とも呼ばれていましたが、これは国産の小麦粉のことで、メリケン粉と使い分けられていたそうです。