Highland Cattle~From the United Kingdom

2024.08.17

異文化理解

ハイランドキャトルと言われてもピンとこないかもしれません。毛がもふもふしたスコットランドの牛の品種です。何とも愛らしいその姿は一度見たら忘れられません。スコットランドのアウターヘブリディーズ諸島で生まれたハイランドキャトルは、長い角と長い毛が特徴です。長い毛は耐寒のためのもののようです。

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ハイランドキャトルは茶色だけかと思っていたら、黒も白もいるようです。特に仔牛の愛らしさはまるでぬいぐるみ。もう、抱きしめたくなるほどの可愛らしさです。大きくなるとその愛らしい目は長い毛で隠されますが、またそれもご愛嬌さ満点で何とも言えない風貌のハイランドキャトル。今ではスコットランドだけではなく、世界中にハイランドキャトルは飼われています。土地が悪くても生き抜く力があり、寒さにも強く酪農には最適な品種だそうです。でもそれは実は食用。人は生きるために家畜を育て、食をつないできています。

ドイツのお話でしたが、牛を飼っている家では冬になる前に牛を1頭さばくところを子どもたちにも見せていました。1頭の牛からひと冬暮らせるだけの食肉を得て、ソーセージにはその血も心臓も使っていました。残酷と思うのなら、私たちは靴も鞄も革製は使えません。ドイツのその家で子どもたちにそれを見せるのは、命の尊さと食を無駄にさせないという教えを込めているからです。食肉も鮮魚もパックに詰められてスーパーマーケットで買っている私たち。ついつい忘れがちなことは全て命をいただいていることです。余すことなく大切に食させていただくことを考えなければなりません。その感謝の気持ちは謝肉祭、カーニバルとして欧米では今も続いています。

さて愛らしいハイランドキャトルのお話でしたが、少し逸れてしまいました。彼らはとても性格も温厚だそうで近くに寄っても問題ないようです。ハイランドキャトルをひと目見たい、そう思ってスコットランドの島をタクシーで走ります。海辺の道から坂をどんどんと登っていくと、道の脇に「ハイランドキャトル!」そう言うとタクシードライバーのAさんは車を停めてくれました。草の中で1頭のハイランドキャトルと目が合います。それが右の1枚。やっと出会えました。愛らしいもふもふの毛と隠れた目からの眼差しに見惚れてしまいました。