Dean's Mews~From the United Kingdom

2024.08.27

英国コラム

ロンドンのオックスフォードストリートの北を歩いていると、何やら不思議な建物を見つけました。聖母子のような像が壁の上にかかっています。とても印象的な入口。アーチ状になっていて中の様子を伺えそうです。2つの柱に支えられているエントランスの上に、The King’s Fundと見えます。一体ここは何でしょう??

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ディーンズミューズのミューズは馬屋、または馬屋を改築した集合住宅のことで、ロンドン市内にもミューズの住宅があると聞いたことがあります。このディーンズミューズは18世紀初頭から開発されていた場所で、貴族の邸宅と共同住宅が建設される予定でしたが、持ち主の貴族の資金繰りがうまくいかず、賃貸用の複合施設になります。エントランスで見た聖母子像、ここはかつて修道院だった名残りのようです。

ディーンズミューズはオックスフォードストリートの北にある、キャベンディッシュスクエアに面しています。地図で見ると、クランクした形の道路が続き、その先は行き止まりになっています。最初は修道院の建物として使われ、その後学校にもなったようです。今ではイギリスの医療とそのケアを改善に取り組む慈善団体キングスファンドが、ディーズミューズにオフィスを構えています。

その聖母子像は近代彫刻の先駆者、ジェイコブ・エプスタイン作、「マドンナとチャイルド」というタイトルのものでした。建築家ルイス・オスマンがエプスタインに依頼して1953年に完成したもので、聖母子像は修道院のものではありませんでしたが、子どものキリスト像の十字のポーズが印象に強く残る像。それはキリストの未来の姿を想像してしまうからでしょう。ロンドンの街を歩いていると、古い建造物だけではなくいろいろな像もと出会うことができます。

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そしてジェイコブ・エプスタインの聖母子像を見つけた後にロンドンを訪れると、今度はエプスタインの最後の家を見つけてしまいました。それはケンジントンガーデンの近くなので、オックスフォードストリートとは離れていますが、聖母子像と彫刻家が街歩きでつながりました。エプスタインについてはブループラークのところでご紹介する機会をつくりましょう。

ガイドブックなどに載っていない、ソーシャルメディアにも騒がれない、自分だけのロンドンの風景を見つけるために、これからもロンドン街歩きを続けていきます。