Tea Pot~From the United Kingdom

2024.12.28

英国コラム

イギリスと言えば紅茶。アフタヌーンティは今では日本でも人気のメニューとなりました。何だかよくわからない「ヌン活」なんていっとき流行った言葉も生まれてしまいましたが、でもなかなかティポットまで注目したことはありませんでした。紅茶を美味しく淹れるためには、ティポットはとても重要な存在です。

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普段の紅茶はティバッグで済ませてしまいますが、ほんとに美味しい紅茶にはティボットは欠かせません。美味しい紅茶は茶葉を、いかに熱い湯の中で踊らせるかにかかってきます。ポットもカップも先にお湯で温めて置くこと、これも紅茶を淹れる際の大切なひと手間です。そして人数分の紅茶を匙でボットに入れます。そしてもう1杯ポットへ。これも美味しい紅茶のための秘訣。また沸騰したやかんをボットに近づけるのではなく、ポットにやかんを近づけて、いかに熱湯をティポットに注ぐことが大切です。茶葉と熱湯のインパクト。茶葉が熱湯の中で踊って美味しい紅茶ができ上がります。日本のお茶と紅茶は淹れ方が異なっているのがよくわかります。

アフタヌーンティでは紅茶はポットでサービスされます。最近のロンドンのアフタヌーンティでは、トラディショナルな陶器のティポットをあまり見つけることはできませんでした。銀製のポットは高級ホテルに限られ、そこそこのティルームでは事務的なガラスのポットでした。アフタヌーンティのポットをいろいろと探していたら、日本の南部鉄のあられ玉が刻印された鉄製のポットまで登場していました。

イギリスの陶磁器のポットは、ジョサイア・ウェッジウッドよって18世紀にもたらされました。イギリスで飲まれた最初の茶は緑茶。中国の茶器を使っていたようですが、急須は小さ過ぎたようです。1702年に即位されたアン女王は紅茶好きで、銀器のティポットを特注します。クィーンアンスタイルの銀のポットには洋梨の細工がされ、それはとても美しいティポットです。

陶器のウェッジウッドのポットも素敵ですが、洗う時は大変です。細心の注意を要します。けれどシルバーポットは高価過ぎます。ポットで愉しむ家での紅茶は、ホーローのものを使っています。紅茶はポットで淹れるとその風味が違います。毎日は無理ですが、余裕を持って紅茶の時間を愉しみたいと思っています。

ロンドンを初めて訪れた時、友人はウェッジウッドのワイルドストロベリーのティポットを購入していました。でも彼女はこの後スペインのセビリアまで仕事に出かける予定。フライトの前夜、悩んだ挙げ句に彼女は大切なティボットを緩衝材の上にタオルで巻きつけ、手荷物に入れることにしました。スペインから日本まで手で大切に運ばれたようです。

※写真はヴィクトリア&アルバート博物館展示のポットと、ホテルの朝食とアフタヌーンティで出たティポット。