Boston Manor~From the United Kingdom

2024.07.29

英国史雑学

ヒースロー空港から地下鉄ピカデリーラインに乗っていると、ボストンマナーなんて名の駅がありました。イングランドのリンカンシャーのボストンからアメリカへ移り住んだ人たちが、マサチューセッツ州にボストンという街をつくりました。アメリカのニューイングランドの中のマサチューセッツ州ボストンの地名が今ではとても有名ですが、このボストンマナーはその名の元になったのでしょうか。調べてみました。

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どうやらこのボストンマナーはニューイングランドのマサチューセッツ州とは関係がなかったようで、17世紀に建てられたジャコビニアン様式のマナーハウスから由来していました。それよりも昔の14世紀にBoderstoneの記録があり、Bordsという人の名が関係しているようです。Bordsは北ドイツから渡って来たサクソン人で、農民とのことでした。この名がボストンへと転訛したようなのですが、ボストンマナーハウスにまつわる別のエピソードも見つけてしまいます。

1622年に建てられたボストンマナーハウスは、実はダイアナ元皇太子妃のご先祖、エドワード・スペンサー卿の結婚準備のためのものでした。このエドワード・スペンサーはオルソープの出身でその広大な領地の所有者ですが、メアリーと結婚しここに住んでいたようです。まだ爵位を授かっていない時代ですが、スペンサー家がすでに名家であることに違いはありません。その後は銀行家のジェームズ・クリザロウがこの邸宅を手に入れ改装をしたそうです。

ボストンマナーハウスは6年もの月日をかけて修復され、2023年7月に公開されています。邸内のミーティングスペースとカンファレンススペースはレンタルもしているそうです。邸内の見学は無料なのでぜひ出かけてみたい場所です。ピカデリーラインのボストンマナー駅は1883年5月に、ボストンロードの名で開業、1911年には今のボストンマナーの名に変更されています。ヒースロー空港からロンドン中心に向かうピカデリーラインに乗った時には、ボストンマナー駅も見つけてください。