Seed Cake~From the United Kingdom

2025.02.28

英国食生活

シードは植物の種子のこと。スーパーフードの人気は近頃とても高まっています。アサイー、チアシード、キヌアとスーパーマーケットで見かける機会も最近増えてきています。イギリスのシードケーキ、これにはキャラウェイシードがよく使われます。キャラウェイシードとは、セリ科のヒメウィキョウの種子をスパイスにしたもの。ではイギリスの伝統的なシードケーキって、いったいどんなものなのでしょうか。

  • Seed Cake~From the United Kingdom

今から200年近い昔のヴイクトリア時代に人気になったシードケーキは、一見飾り気のないパウンドケーキのようです。パウンドケーキはバターケーキの一種で、1ポンド(約0.454㎏グラム)ずつの小麦粉とバター、砂糖と卵を使って作られるレシピからパウンドケーキと呼ばれるようになりました。フランスではquatre-quarts-4分の4の意味で、カトルカールと呼ばれていますが、元々パウンドケーキはフランス生まれのケーキだったようです。キャラウェイシードをこのパウンドケーキに加えると、シードケーキとなるわけです。キャラウェイシードはイギリスでは古来より使われ、14世紀のレシピにも登場しています。その効能は消化を助け、腸内環境を整え、香りはリラックス効果があると言われるキャラウェイ。とても身体に好さそうなケーキです。

イギリスのシードケーキは17世紀には既にその名はあったようです。ヴィクトリア時代にはその消化と鎮静作用のために、就寝前にいただくこともあったそう。今ではそのレシピは砂糖を控えめにし、元々のパウンドケーキのレシピから進化をさせています。さらに小麦粉などのグルテンを除いた、グルテンフリーのシードケーキのレシピも見つけました。シードケーキも多様化している時代になりました。ただし本物の伝統的なシードケーキは、キャラウェイシードを使ったものに限られるそうです。

かつては春の小麦の種まきが終わると、キャラウェイシードのビスケットを人々は食べていたそうです。ティケーキに変わっていったのが、ヴィクトリア時代なのでしょうか。素朴な味わいのシードケーキをイギリスで見つけたら、ぜひ一度ご賞味ください。