The Young Victoria~From the United Kingdom

2024.11.17

英国史雑学

ヴィクトリア女王は19世紀のイギリスの君主。後世になって年老いた身体の大きなヴィクトリア女王ばかりを見る機会が多いのですが、若き頃の愛らしいヴィクトリアを今回ご紹介しましょう。

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ヴィクトリア女王の即位は、生まれながらに決められたものではありませんでした。祖父のジョージ3世の60年あまりの長い治世の後、息子のジョージ4世が57才で即位。ジョージ4世の娘シャーロット王女が次の女王になるはずでしたが、男児を死産してすぐに薨去されてしまいました。次なる君主はジョージ4世の弟で、ヴィクトリア女王の伯父にあたるウィリアム4世です。でもウィリアム4世の娘も2人とも早世して、残る婚外子の10人には王位継承権はありません。

ヴィクトリアの父のケント公は1820年に52才の若さで亡くなっています。ウィリアム4世も64才の即位で長い在位も期待できません。そしてヴィクトリアが次の君主となる日が近づいてきました。ヴィクトリアの世継ぎ教育も始まり、大人に囲まれた少女時代。それでもケント公妃の最初のこ結婚の時の義理の姉と兄がいて、義姉のフェオドラとは親しく暮らしていたようですが、フェオドラはヴィクトリアが8才の時に嫁ぐと1人になってしまいました。

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ヴィクトリアの即位はいくつもの偶然が重なり、その道ができあがってしまったのですが、本人は望んではいません。母のケント公妃に弟を生んでほしいと懇願したこともあったようです。その運命を粛々と受けつつ、ヴィクトリアは寂しい少女時代を過ごされました。お住いだったケンジントンパレスにはヴィクトリアが遊んだドールハウスがありました。お1人で想像を広げて遊ばれたのでしょうか。母のケント公妃と家庭教師と侍女だけの生活。恵まれたパレス暮らしとは言え寂しさは拭えません。愛玩犬との生活で癒されたヴィクトリアは、終生犬たちと生活をともにされています。

それでも20才でアルバート公とご結婚後、ヴィクトリア女王は王子と王女9人のお子さまに恵まれます。自分と血を分けた家族をつくること、それは少女時代の寂しさがそうさせたように思われます。毎年とも言える妊娠と出産をくり返したヴィクトリア。やがてヨーロッパの王家にヴィクトリアとアルバートの王女たちが嫁ぎ、その血脈を残していくことになりました。ヨーロッパの王室にヴィクトリアの血が受け継がれていったのです。

お小さい時の寂しい思いをしないために、ご夫婦で仲睦まじく暮らすことがヴィクトリアの願いでした。そこには家族の大切さを国民にも知ってほしい願いも込められています。イギリス王室の様子を絵画やイラストにし、ヴィクトリアは王室を開かれたものにしていきます。それはアルバート公のドイツの習慣だったクリスマスツリーを飾り、広めた功績につながっていきました。クリスマスツリーを飾り、家族と楽しむクリスマスの習慣、それは19世紀のヴィクトリア時代から始まって、今の私たちにも広がっていったことだったのです。