Maid~From the United Kingdom

2025.02.17

英国コラム

日本では秋葉原がその聖地になりましたが、ほんとうのメイドはもっと奥の深いお話。元々は英国の貴族や、ジェントリーと呼ばれる大地主たちの館で働く女性たちのことで、そのメイドの階層もさまざまです。ヴィクトリア時代には、使用人が多くいる家ほど豊かであると考えられたことから、大勢の人々が使用人としてその職に就きました。

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男性使用人はスチュワードを筆頭にバトラー、フットマン、ボーイとそのカテゴリーにもまたいろいろあります。女性使用人は、ハウスキーパー(メイドではなく家政婦)、レディースメイド、チェンバーメイド、キッチンメイド、パーラーメイド、ランドリーメイド、スカラリーメイド他、覚えきれないほどたくさんの種類がありました。

ではチェンバーメイドとは何をしていたのでしょう。彼女はお部屋の担当で、家族の居室他、客室なども全てをきちんとしなければいけません。次にパーラーメイド。彼女は来客をもてなすための使用人で、キレイな女性がその候補になったようです。

さて聞きなれないスカラリーメイドは?  彼女はメイドの中で地位が低く、キッチンメイドのもとで使用した皿や鍋などを洗うことが主な仕事。湯沸かし器のない時代、水仕事は最悪の仕事だったかもしれません。朝早くから厨房の掃除、次は野菜などの下ごしらえをしたり、ゲームキーパーと呼ばれる狩猟番から、受け取った鴨の羽をむしったりもします。

つまりスカラリーメイドは、黒いドレスに白いエプロンなど、ほど遠い世界なのです。劣悪な日の当たらない場所で朝早くから、夜遅くまで、身を粉にして働いていたメイドがかつていたというお話でした。