海外の映画のタイトル、英語で覚えてみましょう

2024.01.25

お役立ち情報

映画の原題、英語のタイトルは意外と日本語のタイトルとかけ離れているものもあります。英語学習を本気でするなら、字幕なしで映画を観たいところです。でもそんな英語力はまだまだとお嘆きの方、今回は英語のタイトルを頭に入れることから始めてはいかがでしょうか。英語のタイトルだけでも、その映画の内容が思い浮かんでくるかもしれません。まずは古典的な映画の原題からご紹介していきましょう。


海外の映画のタイトル―1960年代までの古典的な名作たち

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古典的名作、モノクロームの古い映画などなど、英単語の勉強もしていきましょう。

The Wizard of Oz
オズの魔法使 1939年

虹の彼方に―Over The Rainbowの曲でも有名な映画「オズの魔法使」。日本語のタイトルは英語そのままの訳です。でもThe Wizardが魔法使いとはご存知でしたか?  余談ですがテレビシリーズの名作「奥さまは魔女」の原題、こちらはBewitched。このwithedは魔女を意味し、原題を直訳すると「魔法にかけられた」って感じでしょうか。これではわからないので「奥さまは魔女」とわかりやすい日本語のタイトルをつけています。

And Then There Were None
そして誰もいなくなった 1945年

アガサ・クリスティの名作は何度か映画になっていますが、1945年のモノクロ版を観ました。アガサ・クリスティの原作の元々の題はTen Little Niggers―10人の小さな黒人でしたが、途中で変えられています。それが、And Then There Were None、興味が持てるタイトルに仕上がりました。さて1945年のこの映画はラストが原作と違います。そして英語版のWikiでは全編観られますので、機会があればラストシーンをご確認ください。

It's a Wonderful Life
素晴らしき哉、人生! 1946年

今や「哉-かな」は古典か俳句でしか使いませんが、詠嘆で使う言葉です。この映画はアメリカとイギリスではクリスマスに観られている古典的名作。直訳すると「素晴らしい人生」ですが、「哉-かな」の詠嘆を加えて、タイトルに深みを与えています。映画の最初が宇宙からのメッセージのようでしたが、それは大天使と主人公を守る天使の会話。意外な始まりです。よき人には奇跡は起こる、そのハッピーエンドまで見逃せん。

Summertime
旅情 1955年

独身の40才に近いアメリカ人女性が、ひとりでイタリア、ヴェネチアを訪れた時のお話。イタリア人男性は女性にとても親切ですから、旅の恋は次第に深まってゆきます。アメリカ人独身女性を好演するのが、キャサリン・ヘプバーン。気高く、けれど恋に慣れていない女性像を見事に演じています。原題を直訳すると「夏の時」ですが、邦題を「旅情」と余韻の残る言葉に換えています。今では40才独身もあたりまえの時代なのですが、当時婚期を逃した独身女性たちの多くは、こんな旅に出たいと思って映画を観ていたかもしれません。

Psycho
サイコ 1960年

サスベンスの神様アルフレッド・ヒチコック監督が、映画公開まで結末を知られたくないために、「サイコ」の原作本を買い占めます。この原題はそのままカタカナにしただけ。60年以上も前に、そのままのタイトルを使った勇気は認めざるを得ません。この映画で日本人は、psycho-精神異常者の英単語を知ることになります。当時日本でも「ヒッチコック・マガジン」が刊行され、高名なヒッチコック作品だからこそできた映画のタイトルだったと思われます。映画はモノクロームですが、血が流されるシャワーシーンがリアルに映し出されています。

A Hard Day's Night
ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! 1964年

原題と相当かけ離れてしまった邦題の例です。A Hard Day's Night-何て忙しい日―では、ビートルズ映画と認識されてもらえないから、こんな日本語になってしまったようです。ビートルズ初主演映画はモノクロームで、メンバー4人はとても若く、エネルギッシュです。ビートルズ本人たちが本人役を演じ、ロンドンのメリルボーン駅を実際に使って撮影されました。当時のロンドンの風景と、ファンから逃れようとするビートルズのメンバーたちがコミカルに描かれています。今は「ハード・デイズ・ナイト」にタイトルは変えたようです。

Bonnie and Clyde
俺たちに明日はない 1967年

今ではボニーとクライドの2人の名は映画もあって知られるようになりました。当時いきなり「ボニー&クライド」ではやはり映画館に人は呼べません。そこで考えられた邦題でした。実話を元にしたお話のラストシーンはとても有名になります。あまりにも凄惨に、待ち伏せていた警官たちに撃たれ続けるボニーとクライド。映画の最後には実在したボニーとクライドの写真の数々が流れます。観る者たちを納得させたアッパレな日本語タイトルです。


海外の映画のタイトル―1970年代からの一度は観たい名作たち

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70年代からは英語のタイトルを、そのままカタカナにして日本で公開するものが増えてきます。例えば1979年の「ディア・ハンター」。でもその意味の鹿の狩猟者が、ベトナム戦争の話とは思いませんよね。同じ年に公開された「ビッグウエンズデー」は、ポスターを見ればサーフィンの映画だってわかりましたが。1970年代の邦題探してみました。

Close Encounters of the Third Kind
未知との遭遇 1977年

原題「Close Encounters of the Third Kind」を直訳すると、第三種接近遭遇。専門的な用語です。第一種接近遭遇が至近距離からの目撃、第二種接近遭遇が何らかの物理的痕跡を残すこと、そして第三種接近遭遇は未確認飛行物体の乗員と接触することだそうです。この映画では確かに未確認飛行物体への搭乗、異星人と接触しますが、まだまだ未知の世界です。なので、邦題はわかりやすく「未知との遭遇」にしたのでしょう。ちなみに未確認飛行物体をunidentified flying objectを略して、UFOと呼んでいます。

Apocalypse Now
地獄の黙示録 1979年

これはapocalypseが難しい英語ですが、意味は黙示録。黙示録はこの世の終わりと審判のことで、nowはさあ、今って感じでしょうか。そこを地獄と置いたのは、原作が関わっているようです。ベトナム戦争の映画は70年代後半に多く製作されましたが、この映画は賛否両論のあった作品です。2001年には巨匠フランシス・コツポラ監督によって、未公開シーンが加わって再編集されました。

Somewhere in Time
ある日どこかで 1980年

原題の直訳だと「時間のどこか」ですが、それを「ある日」に変えた邦題は納得です。公開時には興行的の失敗を強いられた作品だったのですが、何度観ても泣けてしまう名作になりました。素晴らしいカメラワーク、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲が印象に残ります。さらにジョン・バリーの美しいオリジナルサウンドトラックが、ストーリーを効果的に盛り上げていってくれます。最近になって主演の2人の俳優が撮影時に恋におちていた話も出てきました。50年近く経っても色褪せない名作となりました。

Chariots of Fire
炎のランナー 1981年

ヴァンゲリスの名曲とともに、「炎のランナー」のファーストシーンとラストシーンがとても印象深い映画です。原題は「Chariots of Fire-火の戦車」。Bring me my chariot of fire!―わが炎の戦車をもてーと、映画のラストで歌われる讃美歌の一節です。その炎とランナーを合わせて、わかりやすい邦題を作りあげました。1924年のパリオリンピックから100年後の2024年、またパリでオリンピックが開催されます。100年前のイギリスの陸上競技の選手たちの実話が、美しい音楽とイギリスらしい景色とともに描かれた名作です。

Raiders of the Lost Ark
レイダース/失われたアーク《聖櫃》 1981年

人気作品となったハリソン・フォード主演の、インディ・ジョーンズシリーズの第1作。原題をカタカナにしてみたものの、アークがわからないと注釈をつけましたが、聖櫃って何でしょう… 聖櫃は「契約の箱」、ノアの箱舟の「箱舟」の意味に加えて、聖体が入った棺の意味もあります。キリスト教徒ではないとわからない単語ばかりですが、異文化理解も含めて映画を楽しみましょう。

When Harry Met Sally...
恋人たちの予感 1989年

80年代から90年代のハリウッドを席巻した女優、メグ・ライアン主演のロマンティック・コメディ。原題をそのまま訳すと、「ハリーがサリーに会った時...」になるわけですが、わかりやすい邦題を選んだようです。サリー役がメグ・ライアンで、この作品の大ヒットで大人気女優となり、80年代から90年代のアメリカ映画の主演女優を数々務めます。この映画の長い髪のメグ・ライアン、何だか新鮮に見えました。最近は映画から遠ざかっていたメグ・ライアンでしたが、同年代のジュリア・ロバーツと一線を画してしまったようです。

A Perfect Murder
ダイヤルM 1998年

1954年公開映画のヒチコック作品のリメイクです。原題は「A Perfect Murder-完璧な殺人」。邦題を「ダイヤルM」にしたのはヒッチコック作品のタイトル、「Dial M for Murder」を踏襲したようですが、ダイヤルを知らない年代にはどう受け止められたのでしょうか。昔の電話はダイヤル式で、数字といっしょにアルファベットも並んでいました。殺人―MurderからMをとったようですが、原作本のタイトルからそのまま使ったみたいです。

Shallow Hal
愛しのローズマリー 2001年

ジャック・ブラック主演のロマンティック・コメディが「愛しのローズマリー」。原題は主人公ハルの名を使った「Shallow Hal-あさはかなハル」なのですが、日本人が好むように、ヒロインのグウィネス・パルトロウの名を用いて「愛しのローズマリー」としたようです。このジャック・ブラックとグウィネス・パルトロウの2人が恋におちるのですから、それにはそういう理由があったのです。その内容は映画でぜひご確認ください。

Kate & Leopold
ニューヨークの恋人 2001年

19世紀のイギリス貴族が21世紀のニューヨークへ。時を超えた2人のお話の原題は「Kate & Leopold-ケイトとレオポルド」なのですが、メグ・ライアン主演映画なので、恋人の文字を入れて「ニューヨークの恋人」にしたように思われます。イギリスの公爵を演じるのが、映画「X-メン」でも活躍したヒュー・ジャックマン。心憎いキャスティングの作品です。

The Pianist
戦場のピアニスト 2002年

巨匠ロマン・ポランスキー監督作品。ホロコーストをから生き抜いた主人公を描いている作品なので、邦題に「戦場」を入れて、映画の内容をわかりやすくしたのでしょう。主演のエイドリアン・ブロディは29歳の史上最年少で、アカデミー賞最優秀主演男優賞―Academy Award for Best Actorを、ポランスキー監督もアカデミー賞最優秀監督賞―Academy Award for Best Directorを受賞しています。

Christopher Robin
プーと大人になった僕 2018年

原題は「クリストファー・ロビン」。くまのプーさんの生みの親であるイギリスの作家A・A・ミルン、クリストファー・ロビンはミルンの息子の名です。プーのお話は、クリストファー・ロビンが持っていたテディベアから生まれました。日本ではディズニーのプーさんがとても有名ですが、クリストファー・ロビンの名は日本ではよく知られていないので、ストレートに「プーと大人になった僕」になったのでしょう。ミルンの原作はWinnie-the-Pooh、ディズニーはハイフンなしで表記を区別しているそうです。


海外の映画のタイトル―ハリー・ポッターシリーズ

  • 海外の映画のタイトル―ハリー・ポッターシリーズ
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ハリー・ポッターは書籍も映画も大人気。日本語タイトルは原題をそのまま訳していますが、そのタイトルの意味も含めてご紹介していきましょう。

Harry Potter and the Philosopher's Stone
ハリー・ポッターと賢者の石 2001年

実は「賢者の石」の原題は2つあるのですが、作者J・K・ローリングのイギリスの原題をご紹介します。賢者は哲学者を意味するPhilosopherが使われています。大学院で博士を取るとPh.D.―Doctor of Philosophyの学位がつけられます。でもアメリカでは哲学者ではわかりづらいので、「Sorcerer's Stone―魔術師の石」としたそうです。

Harry Potter And The Chamber Of Secrets
ハリー・ポッターと秘密の部屋 2002年

第2作は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」。原題にはchamberが使われています。ルームではなくチェンバー。イギリスではこのチェンバーという言葉がよく使われています。元々は特別なことをする部屋の意味があり、ルームだと空間やスペースなのでチェンバーにしたのでしょうか。ちなみにイギリスでチェンバーポットと呼ばれる、おまるを見たことがあります。部屋にトイレがない昔、寝室で用を足すためのポットが置かれていました。

Harry Potter And The Prisoner Of Azkaban
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 2004年

この邦題は直訳です。囚人はprisoner。2023年に起こったイスラエルとガザの戦争では、相手国に収監されている囚人と人質の交換、解放のニュースで、この英単語はよく使われていました。人質はhostage。海外のニュースでしか覚えない英単語たちです。この第3作からシリウス・ブラックが登場します。ハリー・ポッターシリーズのキーパーソンです。

Harry Potter And The Goblet Of Fire
ハリー・ポッターと炎のゴブレット 2005年

この原題もわかりやすいものです。でもゴブレットって何でしょう。ただのグラスではないのです。日本語では聖爵と書いて、ポティールと呼ばれているそうです。東方正教会の聖体礼儀で使われるポティールは、西方教会の聖杯と同じでイエス・キリストが最後の晩さんで使ったと言われる杯です。映画ではこのゴブレットは、魔法学校ホグワーツの対抗戦で代表選手を選ぶ時に使われるゴブレットのことでした。

Harry Potter And The Order Of The Phoenix
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 2007年

不死鳥はわかりますが、Orderって何でしょう。単に「勲章」の意味もありますが、その根底には騎士道の精神が関わってきます。大英帝国最優秀勲章は騎士道勲章で、Order of the British Empireと呼ばれ、規範となると与えられる最高位の勲章です。日本では最初に書籍が翻訳された際に仮題で、「ハリー・ポッターと不死鳥の勲章」となっていたそうで後で変更しています。

Harry Potter And The Half-Blood Prince
ハリー・ポッターと謎のプリンス 2009年

原題のHalf-Blood は純血の半分。ハリー・ポッターの世界では魔法を使えない普通の人間は「マグル」と呼ばれています。でも誰が反純血のブリンスだったのでしょう。邦題で「謎」としたのにはその意図も見えてきます。ハリーはこのプリンスの蔵書から身につけた「闇の呪文」で、敵か味方かわからないスネイプ先生と戦いますが… この回でホグワーツの校長ダンブルドアが命を落としてしまいます。

Harry Potter and the Deathly Hallows Part1・2
ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1・2  2010・2011年

映画シリーズの最終作はパート1と2に分かれます。このhallows、見慣れない英語です。「秘宝」と訳していますが、辞書では「hallowの三人称単数現在」と書かれています。元々「神聖なものとする」の動詞の意味、ますます混迷してしまいます。イギリスの「アーサー王の伝説」が根底にあるハリー・ポッターの原作。これは中世の騎士道のお話ですが、タイトルの多くに通じているようです。「秘宝」と訳したのも、「アーサー王の伝説」にヒントがあるのかもしれません。イギリス文化の根底にあるものの理解もしなければならないようです。

映画にまつわる英語は…

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ちなみにイギリスの人たちは映画をfilmと呼んでいます。アメリカではmovieが一般的のようです。またcinemaは映画と映画館を指す言葉。日本ではキネマなんて呼ばれ方もしています。映画を観る劇場はシアターで、これはアメリカ英語もイギリス英語も同じなのですが…

USA/theater
UK /theatre

とつづりが違います。なぜ違うのでしょうか。英語は元々イギリスからアメリカ大陸へ渡った人たちが広めた言語ですが、18世紀、アメリ人の辞書編さん者のノア・ウエブスターが、簡素化したと言われています。日本はアメリカ経済に求心されてしまっていますので、アメリカ英語中心です。えっ、theatre、これってスペルミスとは思わないでください。

なおシェーンの教材はイギリス人の教務部門が制作していますので、イギリス英語のつづりです。これが元々の英語。イギリス英語とアメリカ英語、どちらも知っていると英語学習の幅も広がるはずです。