ロンドンの街歩きの愉しみ-ブループラークを探してみよう

2024.06.25

英国史雑学

イギリスの街を歩いていると青く丸い銘板が目に入ります。これはイングリッシュヘリテージが著名人のかつての住まいなどに掲げているもの。ロンドンの街歩きではよくこの青い銘板―ブループラークを目にします。どんな人が目の前の場所に住んでいたのか、想いを巡らせながら街を歩いてみましょう。ロンドンではブループラークでたくさんの発見ができます。

Sir John Everett Millais (1829-1896)

  • Sir John Everett Millais (1829-1896)

ヴィクトリア時代に活躍した画家、ジョン・エヴェレット・ミレイの家がケンジントンガーデンの近くにあります。小川を流れてゆくオフィーリアの美しい画、それがミレイの代表作となり、イギリス絵画としてとても有名になりました。

ミレイは神童と呼ばれ、卓越した画才の持ち主でした。11才でロイヤルアカデミーに入学し、その未来を嘱望されましたが、ラファエル前派の創設メンバーとして、1849年に画を発表するとラファエル前派の画は酷評されます。アカデミーの風潮と合わない画は排除されようとしたのです。しかし1851年から1852年に描かれた「オフィーリア」が発表され、1850年半ばからラファエル前派のスタイルから離れると評価が高まります。

ミレイは1896年8月13日に、このブループラークのある家でこの世を去りました。ロイヤルアカデミーの会長に選出されたばかりでしたが、病魔はミレイの身体をすでに侵していたようです。1885年にヴィクトリア女王から準男爵を授けられ、画家として最高の名誉を与えられたミレイ。67才の生涯をこの家で閉じました。

さまざまな著名人がそこで生活を営み、歴史を積み重ねた同じ場所に、今の人々が暮らしているイギリスの住まい。それを知らせてくれるのがブループラークなのです。

  • Sir John Everett Millais (1829-1896)