Knightsbridge～From the United Kingdom
2023.08.04
ロンドンのナイツブリッジに初めて降りたのは、やはり有名デパートのハロッズへ向かうためでした。ハロッズは少し駅から歩きます。ナイツブリッジはケンジントンガーデンに向かう大きな通りもあり、素敵なお店も建ち並ぶ場所。ハロッズの通りとは違うナイツブリッジに40年以上も昔、ある女性がいました。
彼女の名はティナ・ラッツ。日本ではトップモデルとしてティーンエイジャーの頃から活躍し、日本の某化粧品の広告には出ずっぱりの人気者でした。飾らない笑顔と、親しみやすい顔立ち、広告で見るティナにみんな夢中になります。やがてティナは結婚を機に、夫の店があるロンドンに移り住みます。夫はこのナイツブリッジにチャイナレストランを経営していました。ナイツブリッジは老舗百貨店のハロッズが、その街のランドマークとして威容を依然と誇っていますが、ナイツブリッジには他にもなかなか楽しいショップがありそうです。ハロッズへ続くプロンプトンロードはよく通りましたが、ティナの元夫の経営するそのチャイナレストランは、ハイドパークに程近いケンジントンロードに続く通りにあります。今日はケンジントンロードに続く道を歩いてみます。駅からほどなく煉瓦の大きな建物が見えてきます。そのグランドフロアは店舗になっていて、その一軒にそのチャイナレストランはありました。今も変わりなく店はあるのに、もうティナはいません。
ティナは41才でこの世を去りました。夫と離婚した後でティナはHIVに罹ってしまいます。それでも病気がわかった後も果敢に生き、ティナは同じ病気で苦しむ人たちを勇気づけました。神様が与えた試練、でもそれを受け止め、その生を全うしたのです。外見だけではなく、内面も美しかったティナが歩いた道を、遠い日の広告で見た美しい輝きを思い浮かべて歩いてみます。その広告で流れていた曲は「いとしのティナ」。くり返される夏の思い出が心に染みてきます。
※写真は地下鉄のナイツブリッジからティナの元夫の経営するチャイナレストランの通りを臨んでいます。
