フライト遅延の連続、でも面白かった機内の安全ビデオのお話

2023.08.10

お役立ち情報

イギリスまで約12時間の往復。今はロシア上空をフライトできないので、北極近くへ迂回してロンドンのフライトは14時間もかかってしまいました。確かにそれはとても長い時間です。ぐっすり眠ってしまえばいいのですが、飛行機ではビジネスクラスのフルフラットシートの時以外よく眠った記憶はありません。飲んで食べて、ビデオを観て、うとうとして、特に1人のフライトの時は隣の席の人が立てばおのずと動く必要も出てきます。そんな長いフライト時間、どうやって時間をやり過ごしましょうか。

機内での楽しみ方

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長いフライトの楽しみ、それはシートバックモニターで映画などを観ることに尽きるかもしれません。昭和の時代に各シートバックにモニターなんぞはありませんでした。最初に導入したのがイギリスのヴァージンアトランティック航空です。日本とロンドンの就航便にシートバックモニターがエコノミークラスにも設置されました。今では各社国際線ではあたりまえのモニター。これがない時代は本や雑誌、新聞を読むしかなかったのです。デジタル機器がない昭和の時代は、狭いシートでじっとしているしかないフライト時間。過ぎてしまえば何ということもないのですが、その渦中では何とも言えない時間です。また昭和の時代はロシア上空を飛べるのは、ロシアの民間航空会社のアエロフロートだけ。他の航空会社はアンカレッジ経由でヨーロッパに入っていました。船よりは断然と早くはなりましたが、アンカレッジ経由では長いフライト時間がさらに長かったことになります。

さてシートバックモニターでの視聴ですが、航空会社によっては映画などのプログラムも見尽くしてしまうかもしれません。今回は久々にブリティッシュエアウェイズでイギリスに向かったのですが、英語だけのプログラムならハリーポッターシリーズを観ることができました。何度も観ている映画は、英語だけでも楽しめます。英語の台詞を訊いていると、英語学習にもなりそうです。けれどなぜかいつの間にか話が飛んでしまっていて、眠っていたことに気づくことも… いつものことです。

そしてどこを飛んでいるのか、それはフライト情報で確かめることができます。今回イギリスには北を向かいベーリング海を抜け、アラスカ上空を飛んでいました。それから北極圏のグリーンランド上空、アイスランドへと進み、スコットランドへと近づきます。機内のミールサービスがやがて始まると、フライトもあとわすが。半日を過ごしたことになります。近づくイギリス。あとわずかの空の旅を楽しみました。

遅れる遅れるフライトを待ち続ける

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今回の旅はスコットランドに向かうためのフライトもあったのですが、往きも帰りも大幅に遅れて飛ぶことになりました。安全のための確認を怠ることはできないので、フライトを待つしかありません。往きはヒースローで2時間、帰りは搭乗した機内で2時間以上待つ羽目になりました。空港で待つなら自由も効きます。でも機内で2時間ではフライトの1時間半をとうに超えているのです。飛ぶ前にドリンクとスナックサービスが始まりました。通路側にいた隣の女性がトイレなのか席を立ったまま、なかなか戻ってきません。それを心配していたら、一番後ろのキャビンクルーのところにいます。どうやら彼女はキャビンクルーのようです。これからヒースローに向かって、どこか海外へのお仕事が待っているのでしょうか。彼女が席に戻らない限り、まだまだ出発はできないようです。

今回機内で待たされて気づいたのは、ブリティッシュエアウェイズのスナックのプレッツェルの美味しさです。機内で待たされているので何度も配って回っていました。最初は既製品かと思っていたのでスーパーマーケットで見つけるつもりだったのですが、何とブリティッシュエアウェイズ特製。ブリティッシュエアウェイズに搭乗しないと食べられないようです。また空港のショップで手に取られていたクリスプス(日本ではポテトチップス)は、Tyrrellsと書かれていました。このティレルスは斬新なパッケージも目をひきます。いろいろな人たちがパッケージの半分を占めています。そしてその色の鮮やかさ。ライトブルー、サーモンピンク、イエロー、レッド、ブラウンとさまざまな色は味の違いをアピールしているようです。例えばライトブルーなら軽いシーソルト味、ピンクは海老のカクテル味、イエローならチェダーチーズ味というわけです。トリフ塩には豚も登場しているようです。とにかくパッケージも楽しいクリスプス。もちろん買って食べ、お土産にもしました。フライトを待たされることで新しい収穫もあったようです。

※往きのヒースロー空港の待ち合いと、やっと機内に案内された時の1枚

制作のセンスが光る機内の安全ビデオ

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そして今回気づいたブリティッシュエアウェイの機内の安全ビデオ。キャビンクルーが真面目な顔で機内での安全のための説明をしているのが普通の安全ビデオです。でもブリティッシュエアウェイズの安全ビデオは斬新です。もちろんキャビンクルーをはじめスタッフたちも登場していますが、飛行中の安全のためのお願いが違うのです。そのビデオはアテンションさせるいろいろな音から始まります。それは手を打つ音だったり、手で鳴らすラッパだったり、叫び声だったり… そしてキャビンクルーが説明をしていると、イギリス人のラッパー、リトル・シムズがヘッドホンをいきなり外して「What?」。これも確かに興味を引きます。テイクオフとランディングにデジタル機器の使用はしないと乗客たちが説明していきます。シートベルトの正しい着用の仕方もそう。でも乗客たちは俳優だったり、ジャーナリストだったり、デザイナーだったり… 何とも引きつけられて見てしまうビデオでした。

この安全ビデオにはイギリスの美しい風景も取り入れられて、ライフジャケットの説明も自然の中で実際に試しています。さらにラストの羊たちが画面を横切って鳴いているシーンも秀逸です。イギリス人らしいユニークな発想で制作されたこの動画。ブリティッシュエアウェイズではかなり昔から、楽しい機内安全ビデオを制作していたようです。イギリスのコメディアン、アシム・チョードリーがこのビデオ制作のためにオーディションをしているものもありました。チョードリーは見るからに笑えるキャラクターで、英語の発音についてオーディションを受けるモデルや俳優たちに直されているところもセンスが光ります。安全ビデオのライブラリーも機内のシートバックモニターのプログラムにも入れてほしいと思いました。ナレーションではなく人々の会話の英語は、とても勉強になると思います。

シートバックモニターが導入される前のこと、機内ではテイクオフ、ランディングを大きなスクリーンで実況していたことがあります。「それはどうして?」と、昔キャビンクルーだった友人にそのことを訊ねたことがあります。その理由は、乗員と乗客全員がフライトを見守って成功させたいから、みたい… と言っていました。機内の安全は誰もが願うこと。スコットランドの往復に4時間以上待たされたイライラは忘れて、全ては安全なフライトのため、そう思ってこれからも飛行機に搭乗していくことにします。