Cobblestone~From the United Kingdom

2023.10.29

英国コラム

コブルストーンとは丸石のこと。丸い石が敷き詰められた通りをコブルストーンストリートと呼んでいましたが、今では石畳み道全般をコブルストーンと称しているようです。日本語では石畳みの道はあまりないようですが、イギリスではよく見かけます。コブルストーンの道は舗装道路の先がけでしょうか。雨で道をぬかるみにしない、晴天が続いても埃だらけにしない、砂に敷かれた丸石は透水もして、とても環境にも配慮した道路の舗装です。

  • Cobblestone~From the United Kingdom
  • Cobblestone~From the United Kingdom

しかし馬車の時代、コブルストーンに車輪や馬の蹄が当たればその音は凄まじいものになります。その音で近づく者がわかる利点はありますが、往来の多い通りでは騒音に悩まされたことでしょう。特に丸石では馬車に乗っている者も、馬もつらかったことだと思われます。15世紀のイングランドでは、街と街が行き来する商いが増えていって、そのための道も整備されていきます。元々はローマ人たちが作り上げた石畳み道は、ヨーロッパからアメリカへと広がっていきました。

今では丸石ではなく敷石の道が残っていますが、イギリス南部の海辺のライの街のコブルストーンの坂道が有名です。中世の街がそのまま残っているライの坂町の途中には、海賊たちの根城と言われていたマーメイドインという宿屋があります。12世紀に創業し、その後15世紀に建て替えられたままの建物で今も営業しています。7つ海を制したエリザベス1世が宿泊したこともある由緒ある宿屋です。ただし由緒ある場所にはやはり、過去とのつながりがあり、さまざまな不思議な目撃、体験談は後を絶たないそうです。

ロンドンの東、ブリックレーンを訪れた時、コブルストーンの道にビールのグラスみたいなものが並んでいるホールらしきものを見つけました。これからはイギリスの街を歩く度に、足元を見ることを楽しみに歩くことにします。

※写真は丸石の古くからのコブルストーンと、ブリックレーンで見つけたビールグラスらしきもの