Jacobite~From the United Kingdom

2023.06.12

英国史雑学

ジャコバイト。スコットランドを走る列車の名にもなっていますが、元々は国王ジェイムス2世を擁護する派を意味しています。でもジェイムス2世って、どんな国王だったのでしょうか。そしてジャコバイトとは、何の意味なのでしょうか。

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ジェイムス2世。実はスコットランドではジェイムス7世として即位しています。イングランドとアイルランドの王としては2世で、カトリック教徒の最後の国王となりました。父はチャールズ1世。清教徒革命でオリバー・クロムウェルに亡き者にされ、その後であるチャールズ2世が王政復古してイギリスは君主制に戻ったわけですが、兄のチャールズ2世には正式な世継ぎがいません。チャールズ2世は愛人のルーシー・ウォルターに産ませた子がいましたが、嫡子として認められなかったようです。

でもなぜスコットランドでは、ジェイムス2世を擁護したのでしょう。それはジェイムス2世の息子の同じ名のジェイムスにつながりがあるようです。1701年の18世紀に入った早々に、ジェイムス2世はフランスで病没されます。息子のジェイムス・フランシス・エドワード・スチュワートはオールドブリテンダーと呼ばれ、イギリス国内のカトリック教徒たちによって彼こそ王との気運が生まれます。ジェイムス2世の子孫を王位に就けること、これがジャコバイトの信念です。ジェイムスのラテン語読みのジャイコブス、これがジャコバイトの名の由来だそうです。スコットランドのスチュワート姓の名を王位に、その活動は長く続きます。

1745年にジェイムス・フランシス・エドワード・スチュワートの息子、チャールズ・エドワード・スチュワートが蜂起し、ジャコバイトたちがイングランドと戦いを始めます。息子チャールズ・エドワード・スチュワート-ボニープリンス・チャーリーの名を掲げて、ジャコバイトたちは戦いを続けます。しかしカロデンでボニープリンス・チャーリーは敗退してしまいます。敗れて逃亡していたチャーリーを助けたのがフローラ・マクドナルド。このお話は前にもしたことがありました。歴史がつながります。

フローラとチャーリーのお話はこちらでご紹介しています。
●情報はこちら

スコットランドのジャコバイトたちの悲願は、スチュワートの名を王位に就けること。そのために多くの血が流されました。スコットランドを走るジャコバイト号にはそんな逸話があったのです。

※ロンドンのナショナルポートレートギャラリーで見つけた完成途中のジェイムス2世の画。他にある肖像画も見目麗しいお姿でした。