London Underground~From the United Kingdom

2023.06.28

英国コラム
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ロンドンの地下鉄はアンダーグラウンドと言います。チューブとも呼ばれていますが、それは車体のカタチに由来した愛称。ロンドンの地下鉄は移動にとても便利です。最近はオイスターカードを購入しなくても、タッチして乗車できる非接触決済対応のクレジットカードがあるので、さらにロンドンの地下鉄の利用が便利になっています。また近頃は有人の窓口も減りました。ロンドンの空港もパスポートをタッチして入国なのですから、実際のコミュニケーションは確かにありません。今回は以前ロンドンの地下鉄であった実際のコミュニケーションをご紹介しましょう。

ロンドンの地下鉄に乗ろうすると、小銭がないのに気づきました。自販機では買えないので人のいる窓口に向かいます。すると窓口のオジサンは「今日はどこに行く?」と訊き、「ウォルサムストウ」と答えると、「明日は?」とまた訊いてきます。明日は「多分、キューガーデン」と伝えると「今日は土曜日だから、明日も使えるウィークエンドチケットがいいよ」と教えてくれました。そんな親切なアドバイスはあり得なかったのでしょう。帰国してシェーンの講師たちにそう教えてもらったと伝えると、「絶対ない」と3人にも言われました。確かに親切な地下鉄のスタッフに会えてラッキーだったようです。

最近はどこにも有人の窓口もなく、地下鉄の駅でスタッフを見かけることもありません。それでもアナウンスは録音のものなのかもしれませんが、人の声です。例えばディストリクトラインは男性の声で、―This is High Street Kensington.―と女性の声でアナウンスされていました。また注意を促すアナウンスは男性の声で―Mind the gap between the train and the platform.―と流れていました。

ロンドンの地下鉄車内で日本と違うところは、意外とスマホでの会話をしている人が多いこと。当たり前のように地下鉄内で電話をしていました。新聞を広げる昔ながらの紳士もまだロンドンの地下鉄にはいました。ほとんどの人がスマホを見ていますので、新聞の紳士は昔と比べて減っています。新聞の発行部数も減り、オンラインに変わりつつあります。イギリスの一般紙のインディペンデントは印刷をやめて、オンラインでの購読に切り替えたそうです。でも車内で皆さん、何をご覧になっているのでしょうか。私の隣ではフルーツのゲームをしていた女性がいます。日本でも見ている光景でした。

明日日本に帰国する最後の地下鉄車内で、ドアの前に立っていたお母さんが、プッシュチェア(和製英語のベビーカーのこと)に乗っている男の子に話しかけています。そしてそれが日本語。それも肩がけしていた私のバッグの画を見て、「ほらゾウさんよ」と言っています。男の子に「ゾウさん」という日本語を教えているようです。「ゾウさん、ゾウさん」とくり返している優しい言葉が耳に残ります。異国の地で子育てしている日本人女性。帰国前日の地下鉄で出会えました。日本人だと言い出さないまま、親子は途中で降りていきました。そっと親指を立てエールで見送りました。がんばれ、ロンドンの日本のお母さん♡

※写真はオックスフォードサーカスとホームズが描かれているベーカーストリートの地下鉄の駅