Come and visit TATE BRITAIN-Henry Alexander Bowler(1824-1903)

2024.10.14

英国史雑学

英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。詳細はテート・ブリテンのサイトをご覧ください。

  • Come and visit TATE BRITAIN-Henry Alexander Bowler(1824-1903)

今回はちょっと衝撃的なタイトルThe Doubt: ‘Can these Dry Bones Live?’をご紹介します。「疑い:埋葬されても生きていたら?」、そんな意味になるでしょうか。

この画はヘンリー・アレクサンダー・ボウラーの1855年の作品。ヴィクトリア時代には仮死状態だったのに、死亡と判断されて埋葬されてしまうことがたびたびあったようです。そのため棺の中に空気を送り込み、蘇生したら鐘を鳴らせて蘇生を知らせる棺も売られていたとか。

この画は若く美しい女性が着飾り、墓石にもたれています。木もれ陽のさす明るい墓地に生と死が並んでいます。墓石の陰には掘り起こされた土と散らばった白骨。その頭蓋骨に青い蝶が止まっています。墓石にはジョンの名と、1731年生まれ1791年死去と見えます。新しい墓ではないようです。また墓石には“ラテン語でResurgamとも書かれていて、「我は蘇る」の記載もあるので、この女性は埋葬されたジョンがほんとうに亡くなったのか、蘇っていないことを確かめているのでしょうか。不思議なタイトル、独特の世界を表現している1枚です。

ヴィクトリア時代には死者を着飾って撮影をした写真も残っています。霊媒師たちが登場し、夜ごと降霊会が行われ、オカルトが盛んな時代だったようです。ヴィクトリアの幕開け間もなく生まれ、その終焉を見届けて世を去ったヘンリー・アレクサンダー・ボウラーの油彩画はロンドンのテート・ブリテンにあります。

The Doubt: ‘Can these Dry Bones Live?’
Henry Alexander Bowler(1824-1903)