Christopher Robin~From the United Kingdom
2023.08.07
この名まえに聞き覚えはありますか。クリストファー・ロビン。そうクマのプーさんをいつも持っている男の子です。クマのプーさんの作者、アラン・アレクサンダー・ミルンは、実は自分の息子のことを物語に書いていました。少年の名はクリストファー・ロビン。クリストファー・ロビンのお父さんが書いた話はとても有名になり、クリストファー・ロビンも有名になります。
今ではWinnie the Poohはディズニーの画の方が有名かもしれません。原作のWinnie-the-Poohは愛らしいクマ。いつもクリストファー・ロビンが持ち歩いているテディベアが、世界中に知られることになるとは誰が想像したでしょう。クリストファー・ロビンはいつもテディベアの手を持っています。なので歩く時にはテディベアは斜めになります。クリストファー・ロビンは手をつないでいるつもりなのでしょう。でもテディベアは引きずられているように見えてしまいます。そしてクリストファー・ロビンも大きくなった少年時代には父のこの作品に引きずられてしまい、過酷な思いをしていたようです。
2017年公開の映画「グッドバイ クリストファー・ロビン」では、少年になったクリストファー・ロビンがその苦悩を父に訴えます。ただ自分は父のそばで遊んでいただけだったのに、寄宿学校では苛められ、いつだってWinnie-the-Poohがつきまといます。
父のA.A.ミルンも第一次世界大戦で心を病み、劇作家としての道から外れていた過去がありました。その心の病のためロンドンから離れ郊外に住み、息子と森で遊ぶことになります。その中から着想を得たWinnie the Pooh。1926年に発表され、大人気になってしまいます。クリストファー・ロビンも宣伝のために露出され、子ども心にも自分の存在がお話の中だけになってしまう懸念も持っていたようです。それでも健気にクリストファー・ロビンを演じ続けます。
パパといっしょに遊びたかっただけの少年は、その後一生涯父の印税を受け取らなかったそうです。
ロンドンから電車とバスを乗り継いで2時間ほどの場所に、Winnie-the-Pooが息づいたサセックスのアッシュダウンの森があります。フットパスを進み、プーの棒投げ橋で遊び、プーとコブタ、トラー、フクロ、カンガルーのルーたちのお家を探しと、あの物語の世界が広がります。クリストファー・ロビンはこの森で遊ぶ実際の子どもだったけれど、物語の中では今でもこの森の中にずっといて、その世界の中で息づいています。
ちなみに原作本は「クマのプーさん」と表記し、ディズニーのものは「くまのプーさん」と表記されているのに気づきました。タイトルも原作はWinnie-the-Pooh、ディズニーはWinnie The Poohとハイフンの有無の違いもあるようです。
※写真はA・A・ミルンとクリストファー・ロビンの有名な1枚と、物語の舞台になったプーの棒投げ橋