Eton Mess~From the United Kingdom
2023.01.08
苺とメレンゲ、クリームで作ったこのお菓子、イートン・メス。苺の赤とふわふわのメレンゲとクリームの白がとてもきれいな一品です。でも何でこんな名まえになったのでしょうか。
イギリスの名門パブリックスクールのイートン校は、ロンドンの西にあります。イギリスではパブリックスクールと言っても公立ではなく、私立の中等教育をする場所。元々は家庭教師から教育を受けていた身分の高い男子たちが、公共のスクールとして通い始めたことから名がパブリックになったと言われています。パブリックスクールの高い授業料を払う財力があれば、貴族階級でもなくても生徒になれました。イートン校、ハーロウ校、ラグビー校、ウエストミンスター校、セント・ボールズ校他9つのパブリックスクールは「ザ・ナイン」と呼ばれ、その在校生たちには名門大学への道が開かれています。エリザベス女王の孫、ケンブリッジ公ウィリアム王子もイートン校の出身。イートン校は王族貴族、数多くのイギリスの歴代首相たちを輩出しています。
では全寮制の男子校でどうしてイートン・メスなるものが生まれたのでしょうか。このお菓子は100年前にはもうあったようで、その後はイートン校のショップには売られていたそうです。このメス(mess)という言葉、ごちゃごちゃ、整っていないという意味を持っています。どうやらクリケットの試合の途中のティータイムのために用意した、苺のパヴロヴァの入ったバスケットを落としてしまい、開けてみるとパヴロヴァはめちゃめちゃになっていました。でも味に変わりはありません。壊れてしまったメレンゲとクリームを取って食べたというわけです。元々は苺のパヴロヴァで、それが壊れてイートン・メスになったというお話でした。
ちなみにイートン・メスの元だったこのパヴロヴァは、世界的なバレリーナのアンナ・パヴロワのために作られたお菓子だそうです。日本で表現しているババロアとは発音も、その形も違っているようです。