イギリスのケーキケーキケーキ イギリスのケーキアレコレ楽しみましょう
2021.12.02
イギリスらしいケーキはいろいろあります。華やかではないけれど、いろいろと工夫されたイギリスのケーキをご紹介していきましょう。ロイヤルファミリーの皆さんも甘いものは大好き。エリザベス女王はチョコレート好きで知られています。ウィリアム王子とヘンリー王子は子どもの頃から食べていた濃厚なチョコレートビスケットケーキがお気に入りで、ウィリアム王子の結婚式にもこのケーキはふるまわれたそうです。今回はチョコレートケーキ以外のイギリスの伝統的なケーキをご紹介します。
クリスマスにはどんなケーキ???
イギリスのクリスマス。ドイツではシュトーレン、フランスではブッシュド・ノエルがありますが、イギリスのクリスマスのケーキは何でしょうか… ミンスパイやクリスマスプディングは思い浮かびますが、イギリスではどんなクリスマスケーキをいただくのでしょうか。イギリスのクリスマスケーキらしいものは、デコレーションにいつものケーキとは違うクリスマスのアイテムを入れ込むようです。ケーキの中身はプラムやチェリーなどの乾燥したフルーツと、シナモンなどのスパイスと混ぜ込むスタイル。それはイギリスのクリスマスプディングと似ています。焼き上がったケーキに白くアイシングでクリスマスらしい特別感を出し、ケーキの上にはクリスマスメッセージとツリーやトナカイの絵を描いて楽しみます。
新年には十二夜ケーキ
イギリスではクリスマスから12日めの1月6日に、ケーキを食べる習慣があるそうなのです。それがTwelfth Night Cake、十二夜のケーキ。伝統的なケーキでこれをクリスマスケーキと呼ぶ人もいるようです。
ヴィクトリア時代の1849年、ウィンザー城で直径76センチのケーキが登場。ストライプ模様を金箔でケーキに施し、18世紀の紳士淑女が木の下でピクニックしている様子を作り上げたそうです。当時の新聞に描かれていたイラストが残っています。一般の家庭ではケーキの中に大きな乾燥した豆を入れ、豆に当たった人が王または女王と呼ばれ、紙の王冠が授けられました。
春の訪れを告げるケーキは何???
イースターの頃にいただくのがシムネルケーキ。ケーキの上にはイエス・キリストの12人の弟子を意味するお団子状の飾りを乗せますが、裏切り者のユダは除かれて11個並べることになりました。
ケーキはクリスマスプディングと同じドライフルーツがたくさん入っています。中世から続くケーキなので、今のような生クリームのものではありません。保存の効くドライフルーツケーキが定番です。日本でも生クリームのケーキが一般的に食べられるようになったのは、冷蔵庫が家庭に普及してしばらくしてからのこと。日本の昔のケーキはバタークリーム、冷蔵しないで保存が効くものでした。中世からケーキを食べているイギリスには、日本のケーキの歴史は遠く及びもしませんね。
女王が愛した素朴な味のケーキ
ヴィクトリア女王が大好きだったヴィクトリアスポンジ。焼き上がったスポンジケーキ2枚、その間にラズベリージャムを挟んだシンプルなケーキです。しっかりとしたスポンジケーキは食べ応え十分。ロイヤルファミリーの方々はシンプルなお味のものを好まれます。エリザベス女王も丸いラズベリージャムサンドがお好きだそうです。この丸いサンドイッチは硬貨のペニーの大きさに切られることから、ジャムぺニーと呼ばれています。ジャムとスポンジケーキ、パンの組み合わせは鉄板ですね。
またイギリスらしいケーキをもう一品をご紹介しましょう。すりおろした人参をたっぷりと入れたキャロットケーキ。イギリスの甘味の強い人参を使うので、砂糖不足だった戦時中にキャロットケーキの人気が復活したそうです。キャロットケーキも素朴な味わいで、人参なのでダイエット中は罪悪感が少なくていただけそうです。
レモンでさらに美味しくなるケーキたち
イギリスではレモンをケーキに使うレシピも多いようです。レモンドリズルケーキは、白いシロップがドリズル「霧雨」のようにかかっているレモンたっぷりのパウンドケーキです。白いシロップの代わりに白い粉砂糖のレモンドリズルケーキもあり、レモンの酸味と甘味がさわやかな味わいのケーキです。ちなみにパウンドケーキは粉と砂糖、バター、卵を、それぞれ1ポンド(約0.45キログラム)ずつ併せて作るのでそう呼ばれています。フランス語では1/4が4つを意味するカトルカール。こちらも同じ量の4つの材料で作る意味です。
レモンメレンゲパイもイギリスの定番のケーキ。ふわふわメレンゲに焼き目を付け、見た目は一見レモン入りとは思えません。パイの中は砂糖とレモンを煮詰めて作られるレモンカスタード。レモンメレンゲパイも甘味と酸味が調和した逸品です。日本でレモンのパイが食べられるようになったのは1980年代のことでした。でもレモンパイの名はその前に知っていました。なぜなら母が「レモンパイ」というバンドが大好きで、よく騒いでいたからです(笑)
まだまだあるイギリスのケーキたち
その他のイギリスのケーキをご紹介しましょう。ハリー・ポッターの好きな糖蜜タルト、シードケーキなどが思い浮かびます。糖蜜タルト、トリークルタルトは素朴なカタチ。ゴールデンシロップとパン粉で作られているので、甘くしっとりとした食感だそうです。実は甘過ぎる評判なので一度もいただいたことはないのですが、イギリスでは口が曲がるほど甘いものがたくさんあるので、これも普通なのかもしれません。
またシードケーキは姫ウイキョウの種子、キャラウェイシードを使ったケーキ。イギリスではよくキャラウェイシードを使うので、イギリス人には馴染みのあるスパイスです。細長いキャラウェイシードを入れたパウンドケーキは、素朴な味わいでキャラウェイシードがちょうどよいアクセントになっています。
さらにイギリスではカップケーキも人気。カップケーキの専門店もあり、カラフルで見映えがするかわいいケーキたちがよくお店に並んでいます。見ているのも楽しいのがカップケーキ。イギリスではぜひ食べたいケーキの1つです。
ちなみに日本のショートケーキという言葉は和製英語。イギリスのショートブレッドに苺とクリームを重ねたのが最初という説があります。確かにショートブレッドと生クリーム苺を重ねていけば、簡単な苺のショートケーキ(英語ではスポンジケーキ)ができそうです。イギリスではヴィクトリアスポンジをアレンジして、苺を使ったストロベリースポンジケーキがあります。フランスではガトーフレーズが、苺の生クリームのケーキです。ガトーが焼いたお菓子、フレーズが苺です。
イギリスの食べ物は不味いなんて言われていますが、ケーキは別物。日本でもいただけるイギリスのティーフードのお店もたくさんあります。目黒のあるお店は、古い洋館を改装してティールームとして営業をしています。今はまだイギリスに行けないので、日本で楽しむイギリスの味を堪能します。