パンケーキデイって何??? イギリスの春の伝統のイベント 今年はパンケーキ作りに挑戦しよう♪
2022.01.10
日本で今人気のパンケーキと言えば、ホイップクリームやフルーツがたくさん美しく盛ってあって、インスタ映えしそうな厚くてフワフワで、カラフルなパンケーキが思い浮かびます。でもイギリスのパンケーキはちょっと違うようです。またイギリスのでは春に、パンケーキデイという日があるらしいのです。日本ではあまり知られないイギリスのパンケーキデイのアレコレを、今回はご紹介しましょう。
パンケーキデイの歴史
キリスト教の告解火曜日、それがShrove Tuesdayです。日本語も英語も難解なので、それぞれをご紹介します。「告解火曜日」は、四旬節の最初の水曜日(Ash Wednesday・灰の水曜日)の前日。四旬節は復活祭(イースター)の日曜日を含めない40日前の水曜日から、復活祭の前日までの期間のことを言います。復活祭はキリストが蘇った日を祝日とするもので、毎年その日付は変わります。また西方教会と東方教会、宗派でも変わるのでややこしいところですが、信者たちの暦には毎年記されているようです。
また「告解」は、犯した罪を神の前で告白することで、ゆるしを得ること。四旬節には断食を行うことがキリスト信徒の慣例でしたが、今では神の受難と復活の日まで、簡素な食事のみで過ごすことになります。肉、乳製品、卵を食さないのが四旬節の期間。なのでその前日Shrove Tuesday(告解火曜日)に、明日から食せなくなる牛乳、バター、卵の余ったものを食べてしまおうと考えたわけです。「ゆるしを得る」shriveの過去形が「shrove」で、Shrove Tuesday・告解火曜日となったわけですが、今ではパンケーキデイと呼び、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、パンケーキを食べる日となりました。毎年2月か3月に行われるので、イギリスではパンケーキデイを楽しむ人々にとって、この日は春の訪れになります。
パンケーキデイって何をするのでしょう??
では実際にパンケーキデイには何をするのでしょうか。もちろんパンケーキはいただきます。そしてこの告解火曜日はパンケーキレースというものも行われます。フライパンにパンケーキを乗せて、パンケーキを決められた数をひっくり返しながら走り、速さを競います。主婦が告解火曜日のミサの時間を忘れて、パンケーキを焼いていたところ、エプロンのままフライパンを持って教会まで走ったのが、そもそものパンケーキレースの始まりになりました。今ではもちろん、誰でも参加可能。以前の告解火曜日は半休日だった地域もあったようですが、今は休日ではないようです。
このパンケーキレースの歴史は古く、500年以上も続いているとか。特にバッキンガムシャーのオルニーのパンケーキレースは、1445年まで遡れるそうです。日本では室町時代、イギリスではイングランド王ヘンリー6世の時代です。人々のパンケーキレースの楽しみは、遠い中世から続いていたようです。
どんなパンケーキを食べるの??
ではその告解火曜日・Shrove Tuesdayに、イギリスではどんなパンケーキをいただくのでしょうか。和製英語にもなったホットケーキは厚くてフカフカ、フランスのクレープは薄く焼いたものですが、イギリスのパンケーキはクレープに近いようです。薄めに焼いたパンケーキをくるくると丸めたり、三角にしたり、重ねたりして、砂糖とレモンの皮や汁をかけていただきます。アメリカのパンケーキをなぞらえた日本のホットケーキのスタイルのものは、イギリスではクランペットが近いようです。こちらはホットケーキのようにバターを落とします。パンケーキデイのパンケーキは、フライパンで焼く時にバターを入れるのですから、さらにバターを乗せるのは控えた方がよさそうです。パンケーキを薄く焼いて、重ねても丸めてもいいので、簡単に作れそうですね。レモンと砂糖をまぶした、イギリスの素朴なパンケーキ作りにもぜひ挑戦してみてください。
また春にイギリスではシムネルケーキ、ホットクロスバンなども見かけます。また、さっぱりと柑橘のレモンがアクセントとなって、美味しくいただけるレモンドリズルケーキも、イギリスのケーキでの定番。案外知らないイギリスのケーキたち。このイギリスの楽しめるケーキについては、また別の機会にご紹介しましょう。
2022年のパンケーキデイは3月1日の予定です。
