クィーンズイングリッシュを学びたい
2021.01.15
シェーンはイギリス英語だからクィーンズイングリッシュが学べる、そう思ってご来校される方も多いのですが、残念ながらクィーンズイングリッシュは学べません。
もしクィーンズイングリッシュと言われるなら、首相たちやかつての国営放送のBBCのアナウンサーが発すると言われている、RP(Received Pronunciation)、容認発音と呼ばれているものは存在しています。
しかしこのRPはイギリスではほとんどの人が話せるものではありません。ダイアナ元皇太子妃でもこのRPではなかったようです。ダイアナ元皇太子妃は、Estuary Englishと呼ばれる河口域英語をお話しになったそうです。テムズの河口域から広まった新しい英語は、どの地方の方言にも属さないもので、ウィリアム王子もEstuary Englishをお話しになり、今では新しい世代の新標準語にもなりそうなくらいです。
英語には日本語の地方の訛りと同じようにたくさんの訛りはあります。関西の人たちがいつも関西弁を使い続けるのは、その言葉に誇りがあるからです。それはどこのイギリスでも同じこと。今ではBBCのアナウンサーたちもRPに特に矯正されることもないようです。
ただ、イギリスの俳優たちは出自に関係なく、このRP、容認発音を話せるようにトレーニングを積んでいます。どこでどんなキャスティングがあるかもわからないので、その鍛錬は必要です。映画「フォー・ウェディング」、「ノッティングヒルの恋人」、「ラブ・アクチュアリー」に出演しているイギリス俳優ヒュー・グラントの話す英語はどんな役でもRP。「ラブ・アクチュアリー」では首相役なので、RPでも好いのでしょうが、一般市民の役でもRPを話すとは彼のアイデンティティ…?彼はパブリックスクールからオックスフォード大学へ進んだ正真正銘のイギリスのお坊ちゃまです。演じた役もミドルクラス以上のしかこなしてはいないようです。ブリティッシュらしい英語に触れたいのなら、ヒュー・グラントの映画を観ることがいいかもしれません。
私たち英語を母国語としてない日本人が、RPを身につけることは至難の技です。でも聴き取ることは心地よい英語ですので、例えばこの機会に、エリザベス女王のお言葉をたくさん聴いてみるのもおススメです。女王陛下のメッセージには陛下ご自身の意思が強くこめられています。90歳を越えられてもなお、かくしゃくたるそのお姿とお言葉には感動します。それはご自分のお言葉であることだからだと思います。スピーチ原稿の文字ばかり追う、どこかの一国の当主とは伝わり方が違います。ぜひ女王陛下のメッセージに触れてみてください。
ちなみに元サッカー選手のデビッド・ベッカムは、ロンドンの下町のコックニーを話します。労働者階級の英語特有の、子音を落とす発音なので、I haveが I aveとなるそうです。機会があればじっくり、彼の英語を聞いてみましょう。