英語の「聞き流し」でリスニング力は上達するの? 効果的な学習のコツ
2020.05.15
英語が話せれば、英語がもっとわかれば…映画を吹き替えなしでわかりたい、海外旅行でもっと会話ができたら、TOEIC® L&Rテストでスコアアップしたい、英語が話したい、わかりたい、そう思っている方は案外多いようです。趣味で、旅行で、仕事で、使える英会話を習得したい。
英語の聞き流しに効果はある?
英語を習得するには英語を聴き続けることが重要です。赤ちゃんが母国語を話せるようになるのは、周囲の大人の言葉を聴き続け、長い時間認識した後、最初の言葉を発します。リスニングからスピーキングへ、それからその言葉をつないで、自然と文にしていきます。それからも新しい言葉をどんどん覚えて、読めるようになり、書けるようになり、言語を習得していきます。
これが母国語の獲得。両親がそれぞれ違う言語で会話すれば、その赤ちゃんはバイリンガルとして二つの母国語を持つことになります。言語の習得は、幼児期の自然な練習の場から生まれていました。
でもこれは幼児期特有の言語獲得能力が、そうさせるのですから、このやり方で大人になって第二言語を獲得するには、期待はなさそうです。でも基本は同じ。インプットしたものを会話にしていく。英語のリスニングは、英語をモノにする最初の勉強です。本来は英語だけの世界に、自分自身を置き、英語漬けの学習法が一番おすすめです。誰も日本人のいない場所での留学です。いざその場に身を置けば、否が応でも英語は習得できそうですが、でも現実的に仕事があればそう簡単にはいきません。
今の日本、昔と比べると英語が自然と流され続けています。駅の案内をはじめ、車内放送は英語、中国語、韓国語が流れるようになりました。15年ほど前に来日したイギリス人たちの友人にそのことを話すと、「あの時は何もなくて大変だった。日本語の看板、日本語のアナウンス。誰かに訊いても、英語の答えは曖昧だった」と嘆いておりました。
こんなに毎日英語に耳を馴らし、聞き流しているのに、英語は上達していますか?リスニング力はついていますか? いえいえ、全くと思いつつ、英語に興味を持たなければ、聞くだけでは何も始まらないのです。
時折聞いている電車内のアナウンス、「バイア」と「ビイア」と聞こえてくるこの言葉。掲示板に流れてくる文字はviaで、○○線直通と訳されていますが、○○に通じる、経由していくのだと気づきました。そう言えばかつて、同僚のネイティブから郵便の言葉は、フランス語を起源としたものが多いと聞いていたことを思い出しました。それは彼がエアメールを出すためにvia air mailと記していて、その時に聞いたことでした。
英語に関するいろいろな事柄を聞いて、覚えて、関心を持って、知識を得る。いくつかの段階、作業を経てやがてひとつの成果が生まれます。コミュニケーションは、相互的かつ複合的に成り立っているようです。
聞き流しを活かした英語の勉強法
知り合いで英語が堪能な日本人がいます。彼女は留学経験もなく、ご主人が英語圏の人でもありません。なぜ、英語が堪能になったのか…
その理由はビートルズ好き。歌詞の意味が知りたいという一心な思いで、中学生から英語の猛勉強を続けたそうです。日本にいながら、英語の勉強を重ね、今では英語を使う仕事に従事しています。彼女いわく、「でも相当、英語は勉強したと思う。でもまだまだ堪能ではないから、勉強は続けなければいけないと思っている」と言います。この謙遜が英語を上達させているのだと、気づきました。ある程度英語が話せるからといって、慢心するのは禁物。バリバリに英語で仕事をしている上級者なのに、英語が堪能ではないと言えるその姿勢が、英語学習には大事なことだと思いました。
彼女のように洋楽の歌詞を知りたい、映画の字幕なしで意味がわかりたい、という動機で英語を始められる方は多いようです。ではどうやって勉強法していけば、よいのでしょうか。それは英語の何に興味があるのか、自分に問いかけてみて、最初に英語の好きなチャンネルを探すことをしてはいかがでしょうか。
一人ひとりの趣味や嗜好は違います。好きなスポーツの実況を英語で聞き続けた時は、解説者が何を言っているか、自然とわかったことがあります。時折、こんな表現あるんだ、と気づかされ、その英語表現の言い方まで、耳に残ったことがあります。聞き流しのモチベーション維持のコツ。それは好きなことを見つけ、その勉強をも続けること。漫然と英語を聞くだけではなく、興味の世界から、英語の世界を広げることも十分可能です
言葉は生き物です。刻々と新しい言葉を生み、流行があります。いつでも旬な英語で触れていたいと思えるよう、知り合いのネイティブたちのブログやSNSで、いろいろな語彙や例文の英語にタッチしていこうと心がけています。
聞き流しの英語学習をするときのコツ
最近は世界中の動画を、一瞬にして観ることができます。英語ニュース、誰それのスピーチ、海外のドラマなど、リアルタイムで見つけられます。これらの素材を使って恒常的に英語に触れることはとても大切なことです。簡単かつ、無料動画配信はたくさんあるのですから、これを効率的に活用しない理由はありません。
ただ気をつけることは英語での会話は、まずはフォーマルな表現を身につけることを目指しましょう。変なサイトでスラングなどを知っても、日常英会話にあまり必要はありません。変な言葉知って、つい出てしまうのも考え物です。
動画ではないのですが、英国人の知り合いがよく口にしていたrubbish。彼は役者で、いつもシニカルに表現することが多いので、それが口癖になっていました。直訳すればゴミ、つまらない、ありえない、無理の意味合いもあったようですが、私たちがあまり口に出してはいけない言葉のひとつかもしれません。例え映画や本の感想を訊ねられて、ほんとうはつまらなくても、It's difficult for me、私には難しかったみたい…くらいの相づちが無難なようです。
動画を探すときはイギリスのBBCや、アメリカのABCなど英語ニュースのサイトを活用すれば、旬の英語も身につけることができそうです。また最近話題のTED、Technology Entertainment Design。TEDカンファレンスが開催している講演会では、活きた英語とともに、彼らの考えや意見を知ることができそうです。さまざまな人々のスーパープレゼンテーションを聴くことは、英語の音やリズムを知るだけではなく、世界の状況を知り、自分自身の思考もしっかりと築くことに気づかされます。自分自身の意見を伝えるトレーニングにも使えそうです。
英語が聴けて、話せるだけがコミュニケーションの習得ではないのです。相手が何を伝えようとしているのか、自分自身が何を表現していくのか、それがなければコミュニケーションではないのです。