Come and visit TATE BRITAIN-Henry Wallis(1830-1916)
2019.09.29
英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。詳細はhttps://www.tate.org.ukをご覧ください。
ヘンリー・ウォリスはラファエル前派とも関わりがあった画家ですが、「チャタートン」以外の作品は思い浮かびません。
ロンドンで生まれたウォリスは画の修行のためにフランスに渡り、リアルなまでに緻密な画力に磨きをかけたようです。その後を英国で発表。その画を前にした時、まるで詩人の死に現実に立ち会ったようなその一瞬の描写に圧倒されます。
ではまずチャタートンの生涯からご紹介しましょう。早熟の詩人チャタートンは17才で自らの命を絶ちました。偽りの名で偽りの詩作。信用も欠いていたのかもしれません。生活に困窮し、知り合いに仕事を頼みますが拒絶されます。天賦の才能は生前認められないまま、ロンドンに来てたったの2カ月後、1770年8月に服毒自殺を遂げました。
※写真の手前の横長の画が「チャタートン」です。
ウォリスの「チャタートン」では、横一面のカンヴァスに眠るように最期を迎えた若き詩人が横たわっています。そこはロンドンのホルボーンの屋根裏部屋。主はすでにこの世の人ではなくても、新しい朝はやって来ます。その窓から夏の朝の喧騒が聞こえ始めています。床にちぎれた原稿らしきものと、薬瓶と靴、極貧の中で詩人は旅立ちました。朝の光は彼のすでに蒼白い顔には届きません。光と影、そして劇的な一瞬を切り取った印象的な1枚です。
チャタートンの17才９か月は、ひとりの人間一生涯に値したのでしょうか。画家のウォリスは実際のホルボーンの彼の部屋でこの画を描いたとのこと。1856年に描かれたこの油彩画はロンドンのテート・ブリテンにあります。
Chatterton
Henry Wallis(1830-1916)
