映画や海外のTVドラマを字幕なしで観たい-Suffragette
2019.11.01
字幕にばかり頼っていてはリアルなセリフはわかりません。映画やドラマを観るときは英語の世界にひたってみましょう。何気なく聞いていたセリフ。このシーンにこの言葉。はっと意味がわかった時、英語が身近になった気がするかもしれません。
2012年のロンドンオリンピックの100年前、英国では女性たちが参政権を求めて闘っていました。今回は2015年公開の「Suffagette」 をご紹介しましょう。日本語のタイトル「花束を未来に」は抽象的でしたが、「Suffagette」、女性参政権運動家が原題です。
主人公はランドリー工場で働くモード。母親もここで働き、父も知らぬまま、工場の片隅で育てられ、結婚した後も働いています。ある日、同僚のバイオレットが雇い主から、遅刻が多いと文句をつけられている時に、モードは機転を利かせ助けます。
Ta.
とモードに伝えるバイオレット。この短い言葉は、ありがとうの口語表現です。ta taと続けると、さよならの意味になります。英国ではよく使われている表現です。
この後、モードはバイオレットに集会に誘われ、ランドリー工場で働く女性たちの過酷な労働を国会で証言することに。でもそれは認められず、警察と小競合いになり逮捕されます。その獄中で歓迎の言葉で迎えてくれまたひとりの女性。そのエミリーが、この物語のキーパーソンになります。
やがて釈放されたモードは、運動に加わることを夫に反対されながら、次第にこのSuffagetteに引き込まれます。結局、夫に家を追い出され、子どもとも引き離される羽目に。次第に爆破など、過激な行動に出るモードたち。また捕まり、投獄されます。
獄中では絶食し、強制的に食事を喉に流し込まれても、どうしても手に入れたかったもの。それは女性たちの地位。参政権どころか、子どもの親権すらも与えられない女性たち。そのためには国王にアピールするしかない。国王の来場するダービーに目をつけた彼女たち。でもパドックには入れず、Suffagetteのバーナーを出す計画は叶いません。思い立ったように、エミリーは競馬のトラックに向かいます。追いかけるモードにエミリーは、
Never give up the fight.
と告げ、走ってくる競走馬、それも国王の馬の前に立ちます。一瞬で倒れるエミリー。自らの命をかけて、彼女らの主張をあらわにしました。英国では1918年、女性たちに参政権が与えられます。やがてその運動は世界中に繋がり、この映画公開の 2015年、サウジアラビアの女性たちにも参政権が与えられました。
余談ですが、この映画にはかつてシェーンのキッズドラマで、赤ずきんちゃんを演じてくれた女優も出演しています。牢獄から釈放された彼女たちを、小さな花束を持って迎えに出る女性の役で出ています。シェーンとも少なからず縁があった作品です。