Charing Cross~From the United Kingdom
2019.10.15
英国コラム
チャリングクロス
ロンドンの中心に悲しいお話が隠されていました。
かつてロンドンにあったチャリングクロス村。この地にあった十字架がその名の元になっています。
13世紀、イングランド王妃のエリナーがイングランド中部のノッティンガムあたりで客死された時に、国王はロンドンのウェストミンスターに王妃を埋葬するために葬列を作って、ロンドンに向かいます。国王は、王妃の棺がロンドンに到着するまでに葬列が留まった場所に十字架を掲げ、王妃を悼みます。
その十字架、エリナー・クロスが掲げられた場所のひとつがチャリングで、その十字架があった場所をチャリングクロスと呼ぶようになりました。
今やチャリングクロスはロンドンの中心。トラファルガースクエアの壮大なネルソン提督の記念柱と、それを取り囲むライオン像をはじめ、ナショナル・ギャラリーと噴水は、ロンドン観光の拠点となっています。
実は今残っているエリナー・クロスは、元々あった場所ではなく再建されたものです。ネルソン提督の柱の前面に、ラウンドアバウトと呼ばれるロータリーがあり、その中心にチャールズ1世の像があり、その場所に元々は十字架があったようです。
今では少し離れたチャリングクロス駅近くにあり、旅人たちを見守っているのかもしれません。