Arts & Crafts Movement~From the United Kingdom
2019.09.01
英国史雑学
モリスの追求した生活の美は、今の私たちの生活にも関わっています。
19世紀の終わり、英国のウィリアム・モリスによって美術と工芸の運動が始まったと言われています。
新婚当初、モリスは夫婦で住む家の内装、家具、生活にまつわるものに自分の美学を取り入れて仕上げました。近代に流通していた安っぽい生活用品を廃し、使い続けたいものを生活に取り入れたいという、こだわりを持っていたからです。家具をはじめ、壁紙、カーテン、ステンドグラスと、モリスの探求した美が、この家に詰めこまれました。
しかしながらモリスが美を探求した家での夫婦の仲は続かず、モリスは仕事に没頭する人生を歩みます。
1875年、商会を立ち上げ、住居と工房をロンドンのテムズ河沿いに置き、「ケルムスコット・ハウス」として、そこで生活と仕事を始めていきます。
出版も始め、本の装丁も手がけます。そして本のページ毎の余白を、理想的なカタチに作り上げることまでやってのけます。天より地の余白がやや大きく、中央のページの間は左右の余白より小さくして、読みやすいバランスを保っています。手に取る本までにもこだわったモリスの精神は世界に広がり、20世紀へとつながっていきます。
※写真はモリスの終の棲家、ケルムスコット・ハウス。テムズ河を臨む素晴らしいロケーションです。