BATES~From the United Kingdom
2020.01.22
英国コラム
かつて猫が住みついた帽子屋さんのお話です。
ロンドンのジャーミンストリートにそのお店はあります。
ロンドンのジャーミンストリートはさまざまな老舗が建ち並ぶ、ちょっと小粋なファッション通りです。それも英国紳士たちが足を運ぶ専門店ばかりに気づきます。
お客様の注文に合わせて靴を作るビスホークで有名なジョン・ロブをはじめ、チャーチ、クロケット&ジョーンズと、靴のお店が多いのも特徴。この一角はその昔、貴族の方々がお住まいだった由緒正しき場所だったようです。
その一角にある帽子専門店BATESは、帽子だけではなく、不思議なマスコットが飾られているのです。
1921年に迷いこんできた猫は、BATESで可愛がられてその場所に居つくようになりました。1926年に亡くなった時、ビンクスが生前のままでいつでも店に居られるように、店主は、ビンクスをはく製にしました。ここは日本人とは違う感覚の愛情表現です。
でもだからこそ、100年近くもたった今でも、彼のそのままの姿を見ることができるわけですね。ビンクスもBATESのシルクハットをかぶり、訪れるお客さまたちを迎えています。でも以前ビンクスは、煙草をくわえていましたが、昨今の嫌煙のせいか、今は取り外されています。
ちなみに、stuffed animalという言葉は、はく製の意味以外にも、動物のぬいぐるみという意味もあるのですから、飾られている猫のビンクスはぬいぐるみと同じなのかもしれませんね。
※滞在中に出かけたBATESは改装中なのか間借りの仮店舗でした。