Walk slowly to the door. 英語を英語のまま理解する力を養う:TPR
2019.09.05
今日は5才になる息子の初めての英語レッスン。「ネイティブ講師による日本語を一切使わないレッスン」と聞いているけど、大丈夫かなあ。先生の言っていることはちゃんと理解できるのかなあ。英語のわからない子どもにどうやって教えるのだろう。そんな不安を抱く保護者の方はたくさんいらっしゃいます。
英語を学ぶ際、意味がはっきり分からないと居心地が悪い、辞書で日本語の意味を調べてすっきりしたいと思うことはありませんか。でも、現実世界では「あいまいな」まま会話が進み、徐々に明確になっていくことが多いのではないでしょうか。英語を英語で学ぶということは「あいまいさ」を受け入れ、推測するスキルを養うことでもあるのです。
Total Physical Response (TPR) は英語が初めての子どもたち対しても効果的なteaching method(教授法)です。指示された英語に合わせて身体を動かすことで「聴く力」を養います。1960年代にFirst language acquisition(第一言語習得)をモデルに開発されたこの教授法は、現在でも外国語教育の現場で広く使われています。
First language acquisition(第一言語習得)とは、赤ちゃんが母国語を身につけるプロセス。子どもたちが言葉を話し始めるのは1才半から2才ごろから、それまでは長い時間をかけて身の回りの言葉を聞いています。そして時期が来れば自然と言葉を話し始めます。
話し始める用意(readiness)ができるまで口を開くことを強制しない、これがTPRの原則の一つです。
TPRを使ったアクティビティの例を挙げてみましょう。
講師:walkと言いながら(歩く)
生徒:真似して歩く
講師:walk to the doorと言いながら(ドアまで歩く)
生徒:真似してドアまで歩く
講師:walk slowlyと言いながら(ゆっくり歩く)
生徒:真似してゆっくり歩く
講師:walk slowly to the doorと言いながら(ゆっくりドアまで歩く)
生徒:真似してゆっくりドアまで歩く
まず、生徒は英語の指示を聴き、講師の動きをお手本に身体を動かします。次に、講師は動かずに指示のみを与え、生徒が正しい動作ができるか確認します。一つずつ確認しながら徐々に複雑な動きを導入していきます。
子どもたちは講師の指示を日本語に置き換えることなく、英語のまま丸ごと受け入れ、文字通りtotal physical(全身)でresponse(反応)します。TPRの基本は「聴く」、「理解する」、「その通りに身体を動かす」です。この段階で生徒は「話す」必要がありません。恥ずかしがり屋の子どもたちでもストレスなく学習に参加できます。
TPRアクティビティを繰り返していくことで、単語を聴き取る力が向上するだけでなく、知らない言葉が出てきても「なんとなく」意味を推測する力もついていきます。さらに、単語と単語の結びつき、例えば修飾(walk slowly:動詞の修飾)や前置詞(walk to the door)等も日本語の説明なしで脳にインプットされることも期待できます。
リスニングは話すための準備です。英語を発話するreadiness(用意)ができた子どもたちにはドリルやチャンツを使って、英語を声に出すことをencourage(勇気づけ)することも大切です。
シェーンの子どもレッスンは、TPRを始め、ドリルやゲーム、チャンツ、フォニックスなど、いくつものアクティビティをテンポよく組み合わせ、子どもたちが集中力を絶やさず、楽しくレッスンに取り組めるよう工夫されています。英語だけの英語のレッスン、ぜひ体験してみてください。