高校入試の英語 問題はどう変わったのでしょう?~お父さん・お母さんが受験したころと比べて~
2019.07.05
平成は「コミュニケーション重視」の英語教育が始まった時代と言われます。30年間に学習指導要領が数回改訂され、ますますコミュニケーションに重きを置いた指導が行われるようになってきました。
現在中高生をお持ちの親御さんは、ご自分が受けた英語の授業を覚えていらっしゃいますか。定期的なテストや入学試験はどんな内容だったでしょうか。多分、お子さんとはかなり異なるはずです。
違いを知る一つの目安として、高校入試の英語問題を比べてみます。
親御さんが受験した頃の平成元年度と、最新の平成30年度について、首都圏、一都三県の公立高校入学試験<英語>問題の内容を比較した結果、次のような違いがみられました。
読解する文章の量がおよそ2倍になりました
元年には300語程度以下の文章が大半を占めていたのに対し、30年には600語を超える長文が出されるようになり、読解問題の数も増えました。
読解問題の文章の語数を単純に合計してみると、元年は一都三県の平均が600語程度だったものが、30年には平均1300語程度。
つまり1回の試験中に受験生が読みこなさなければならない文章の総量がおよそ2倍に増えたことになります。
リスニング試験が始まりました
一都三県に限って言えば、元年にリスニング試験を行っていたのは埼玉県だけでした。30年には一都三県すべてでリスニングの試験が行われています。元年は、聴き取った内容に関する質問に選択肢で答える問題でしたが、30年は図表などを理解しながら答える問題や、聴き取った内容について日本語で説明したり、英語で考えを書いたりする問題などのバリエーションが加わりました。
自由英作文が始まりました
「和文英訳」はあったものの、元年に自分自身の考えを反映する「自由・条件英作文」を出題した都県はありませんでした。一方、30年にはどの都県でも自由英作文あるいは条件英作文が出題されています。出題例を挙げてみます。
① 高校生になったら挑戦したいことを5文以上の英文で書き、その理由も4文以上で書く。
② 長蛇の列が出来ているハンバーガー店の前まで来て、「どうしたい?」と聞かれたら何と答えるか。返事を20語程度で書く。
③ 3つの挿絵の流れを理解しながら、2つ目の挿絵について指定された語と形式を用いて5語以上の文で説明する。
長文のテーマは社会的な関心事や環境問題などが多くなりました
元年の読解問題は、英語や異文化に関する自分自身の体験談や簡単な物語がテーマになっていましたが、30年は環境問題やAI、コンピューター、訪日外国人の推移など、より社会的な題材が取り上げられています。
グラフや料金表など、さまざまな形式が組み込まれるようになりました
30年には、ポスター、グラフ、アンケート、時刻表、地図、料金表、Eメールなど、多様な形で英語を読み取る問題が出されています。元年にはほとんど見られなかったものです。
例えば友人と外出するという設定の問題では、施設の営業時間の表や料金表、目的地周辺の地図、路線図などを読み取りながら文章を理解する力が必要です。
いかがでしょうか。「実際に使うこと」を意識した問題に変わってきた印象を受けます。
2021年度からスタートする新しい学習指導要領で、中学校での英語は基本的に「英語で教える」ことが決まっています。
東京都は今後、高校入試にスピーキング試験を導入する方針を発表しています。 中学卒業までに学習する語彙が大幅に増えることも予定されており、高校入試の問題はさらに変わっていくことでしょう。
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