社会人留学のメリット・デメリットと成功させるポイント
2019.04.17
留学といえば学生というイメージですが、社会人になってから留学を検討する人が増えています。社会人留学によって語学スキルを身につけ、キャリアアップに結びつけることが可能です。
社会人になってから留学する場合にどのような目的があって留学に挑むのか、社会人留学にはどんなメリット・デメリットがあるのか、また成功のために何をすればいいのかなど、社会人留学について理解し、実りのある留学を実現させましょう。
社会人留学の主な種類
社会人留学には、本格的に海外の大学や大学院へ留学するものや、大学の中でも「ESL(English as a Second Language)」コースと呼ばれる外国人向けの英語学習コースへ通うものなど、いくつかバリエーションがあります。ここでは、大きく分けて3つの種類をご紹介しましょう。
海外の大学や専門学校、大学院
社会人向けの留学として最も本格的なのは、海外の大学や大学院、専門学校などに通って知識やスキルを身につける方法です。英語はもちろん、MBA(経営やマーケティングなど)、プログラミングを始めとした専門知識を海外で学習する経験は、その後のキャリアを大きく好転させる可能性があります。特に1~3年程度大学院留学すれば、世界で通用するスキルを手に入れられるでしょう。
メリットとしては、外資系企業や海外で働けるレベルの専門知識やスキル、ハイレベルな英語力、海外人脈の3種類です。企業によっては、こうした留学の補助をしてくれる制度を備えているところもあります。チャンスがあれば、ぜひ手を挙げてみるとよいでしょう。
ただし容赦なく英語が飛び交う環境、高額な学費、ハイレベルな授業、大量の課題、海外生活など、きわめてハードルが高いのも事実です。軽い気持ちで何とかなるものではないので、覚悟を持って飛び込みましょう。
語学学校・大学付属のESL
次に、語学を目的としたESLコースに通う語学留学という選択肢もあります。ESLは、大学付属のものと語学学校のものの2つに分けられます。大学付属のESLの方が、比較的難しめの授業を実施している傾向にあります。大学や大学院の本格的な語学の苦手な人、初心者レベルの人は語学学校のESLに通い、ネイティブと会話しても物怖じしない程度の会話経験を積むことができます。
ワーキング・ホリデー
ワーキング・ホリデー(ワーホリ)も10代から20代の若者に人気です。ワーホリとは、外国で観光や休暇を楽しみながら、滞在資金を補うために一定期間の就労を認める制度です。18才から25才ないし30才までと、年齢制限が設けられています。
あくまで観光が第一目的であり、ワーホリで取得したビザを利用して就労・就学をすることはできません。会社を辞めてしばらくのんびりしたい、海外生活を体験したいなどの目的でワーホリを利用するケースが多いようです。
また、近年では海外の企業へのインターンシップに参加する人も増えています。海外企業で働くことをリアルに体験できる機会となるため、興味のある人にはおすすめです。
社会人留学のメリット・デメリット
社会人留学を考慮する際は、メリットだけでなくデメリットについても検討する必要があります。キャリアが中断することになりますので、転職先の限定につながる点は注意すべきでしょう。
社会人留学のメリット
社会人留学の最大のメリットは、何より語学力の向上です。英語圏(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど)へ留学すればあらゆることがすべて英語。日常生活における些細なやり取りも英語しか使わない環境となります。
外へ一歩出れば英語で呼びかけられ英語で話すことが必須となり、次第に英語で話す度胸を養えるでしょう。英語を話せないと生活すら思うようにいきませんから、必然的に英語の勉強も真剣に取り組むことになります。英語を強制的に使用するという意味で、留学以上に適した手段は存在しないでしょう。
大学や大学院で学ぶ場合は、語学に加えて専門性の高いスキルの習得も可能です。MBA(経営学修士)がメジャーですが、それ以外にもさまざまな学位が存在します。
母語以外の言語で専門的な講義やゼミを履修するのは極めて大変ですが、苦労した分だけ身になります。スキルアップを果たし、帰国後に年収の高いポジションへ転職・昇進するチャンスもあるでしょう。
最後に海外における人脈の構築も見逃せません。現地での就職や転職、住居探しなど、仕事からプライベートに至るまで役立てられます。これまで接したことのない人々と一緒に時間を過ごす経験によって、人生や価値観が変わったという人も少なくありません。
社会人留学のデメリット
一方で、社会人留学では準備から学業、その他生活の隅々まで苦労の連続であることの覚悟が必要です。
まずは準備段階において費用がかかります。渡航する国や留学期間、学ぶ内容や教育機関など留学プログラムの条件によって大きく異なりますが、1週間から1ヵ月程度の短期間でも数十万円以上、6ヵ月や1年間などの長期留学となると授業料を含めて数百万円単位(大学・大学院となると数千万円に及ぶことも)のお金を用意する必要があるでしょう。
留学先への入学手続きやビザの申請、現在の職場への退職準備・引き継ぎなどの手間もかかります。多くの場合、3ヵ月から半年は見ておくべきでしょう。従って留学を考えるのであれば最低でも半年前、できれば1年ほど前から留学先のリストアップや情報収集を始めておくと良いでしょう。
留学目的による退職や休職によって職歴に空白ができるのもリスクの一つです。日本企業の中には、仮に留学であっても空白期間の存在を好まないところもあります。キャリアアップを目指すつもりで留学したのに、帰国してから転職活動をしてみると希望する企業に入社できないのでは意味がありません。
つまり、留学自体を目的にするのではなく、留学した後どうなりたいのか考える必要があります。この点については、次の見出しでもう少し詳しくご説明しましょう。
社会人留学を成功させるポイント
社会人留学は、決してメリットばかりではありません。留学を成功させるためには、留学を人生の中で実のあるものとするためには、事前の準備や目的意識が重要です。
目的を明確にする
まずは目的を明確にすることです。ぼんやりと「語学力を向上させたい」だけだと、あまり実りのある留学にはなりません。
たとえば英語で考えると、TOEIC® L&Rテスト対策のスコアアップなのかビジネスの場でコミュニケーションが図れることが目的なのかによって、学ぶべき方向性が変わります。さらに言えば、ビジネスの場と言っても部下をマネジメントするため(褒める・叱るなど)なのか、英語で交渉できるようになりたいのか、あるいは社内のテレビ会議で必要なのかなど、目的やレベルはさまざまです。自分がその語学を使って何をしているのか(したいのか)をはっきりさせましょう。
世界で通用するビジネススキルを身につける、人脈を広げるなどの目的が根本となることもあります。将来のビジネスやプライベートで役に立ちそうな友人・知人の輪を広げる努力も求められるでしょう。
留学前に一定レベルの英語力を身につけておく
完全に初心者レベルの語学力で留学してしまうと、留学生活に慣れるまでのハードルがあまりに高くてくじけてしまう可能性が高いです。最低限のコミュニケーションに不自由しないレベルの語学力は留学前に身につけるとともに、頻出する会話文や単語を暗記するようにしておきましょう。これだけでも不安はかなり薄れますが、英語力を一定レベルまでに引き上げるためにも英会話スクールへ通うこともおすすめです。
留学の成果を見える化する
留学してどんな成果を出したいのかはっきりさせましょう。ビジネスで通用する語学力を身につけたい、海外で最先端の技術を学びたいなど、成果の達成度を明確に判断できるような基準を設けるようにしてください。
語学留学の準備 持ち物や必要な手続き、成功のロードマップを解説社会人留学は事前の準備がカギになる
社会人留学によって語学力やビジネススキルを身につけられる一方で、相当のお金と時間、手間を犠牲にしなければなりません。事前にほしい成果を具体化した上で、本当にその成果が社会人留学でしか手に入らないのか冷静に検討する時間を設けた方が無難です。留学先の文化や治安、以前留学していた人の体験談などの情報収集も欠かさないようにし、充実した時間を過ごせるようにしてください。まずは専門機関へ相談に訪れることをおすすめします。