英語発音の隠れた主役~あいまい母音って何?
2019.03.26
英語のリスニングをしている時、モヤモヤした音ばかりで単語が聴き取れないということはありませんか?
その犯人は「あいまい母音」かもしれません。
あいまい母音は英語で一番出番の多い音
あいまい母音は、英語で「シュワ schwa」と呼ばれています。
「あ・い・う・え・お」のどの音にも似ているようで似ていない中間的な母音で、「口を軽く開け、唇にも舌にも力を入れず、短く息を吐いて声に出す音」です。
実はこのあいまい母音こそ、耳にする英語音の中で一番多く聞こえてくる音だと言われているのです。
あいまい母音はいつも隠れている
ネイティブ講師たちが「これはシュワだね」と、宝探しのようにちょっと楽しそうに話しているのを聞いたことがあります。「宝探し」と言ったのは、いつも隠れ気味に存在しているからです。さて、あいまい母音はどこにあるでしょうか。
単語の中のあいまい母音
ひとつひとつの単語のなかであいまい母音を探してみましょう。
あいまい母音は、単語のなかでストレス(アクセント)のない音節に現れます。
たとえばadventureの形容詞adventurous(冒険好きな、危険な)の発音は、/ədˈvɛnʧərəs/です。
ストレスが置かれるvenのeを除いて、母音はすべてあいまい母音の/ə/と発音します。
スペリングで言うと、下線を引いたa, u, ouの部分に当たります。
このようにあいまい母音のスペリングは一様ではありません。
例えば、次の下線部分の発音はすべて/ə/です (イギリス英語) 。
across, Canada, England, umbrella,
holiday, April, beautiful, festival, album, museum,
moment, accident, president, London, custom, introduce,
position, national, delicious, famous, analysis
a, i, u, e, o, ti, ou, yなどさまざまなスペリングがありますね。
スペリングがa, i, u, e, oだと「アイウエオ」(に似た音)ではっきり発音したくなりますが、あくまでも「あいまいに」発音します。なおイギリス英語では、スペリングが母音+rの場合rを発音しないので、teacher, mother, sisterなどの下線部も/ə/です。
センテンスの中のあいまい母音
単語と同じように、センテンスにも強く発音する部分と弱く発音する部分があります。
通常、名詞や動詞、形容詞、副詞など意味を伝える単語は強く、助動詞、前置詞、be動詞、冠詞など、文法的な役割はあるもののあまり重要な意味を表していない単語は弱く発音します。
後者の単語は「弱形」を用いるので、例えばmust, can, at, amなどの下線部は、通常あいまい母音の/ə/で発音します。 from, of, andなどの下線部もあいまい母音です。
ただし、これらの単語を特に目立たせたい時、つまり意味を強調して伝えたい時には単語も強く発音します。
たとえばatは通常/ ət/と発音しますが、What are you looking at? の文では質問の意味をはっきり表すためにatの部分を強く/æt/と発音します。
つけ加えたいことを強調してAnd ・・・.と話し始めるなら、/ænd/と発音します。
通常あいまい母音を用いる単語でも、文脈によって強い発音(強形)に変わることがあるのです。
いつも隠れ気味のあいまい母音は、目立つところに現れません。
あいまい母音に慣れましょう
aはア、iはイ、というようにカタカナ英語風にスペリングを理解していると、知っている単語でも予想外の音に聞こえてしまいます。センテンスの中で通常弱形を用いる前置詞や助動詞などは特に聴き取りにくいでしょう。
あいまい母音の性質を頭の片隅に置きながらリスニングの練習をしてみましょう。
慣れてくると「知っている単語」が現れてきます。
発音練習でリスニング力と聴き取りやすい発音を身につけましょう
シェーン英会話では子ども向けのレッスンだけでなく、高校生や一般向けのオリジナルテキストにも発音のコーナーを設けています。あいまい母音に限らず、文の中で変化する英語音の特徴を、発音しながら身につけていきます。
レッスン中にネイティブ講師の発音を「直接体感できる」ことも大きなメリットです。
このようなトレーニングが英語のリスニング力を向上させ、さらには相手が聴き取りやすいスピーキングの力を養います。