小・中学校から学習語彙の大幅増について~次期学習指導要領は語彙数が増えます~
2019.03.20
2020年の学習指導要領※では、小・中学校、高校にかけて学習する英語の単語数が大幅に増えることが注目されるポイントの一つです。
詳しくは文部科学省学習指導要領にてご確認ください。
文部科学省の学習指導要領は、およそ10年に一度改定されてきました。指導される単語数もそのたびに変更されてきたわけですが、以下の表からも分かるように、次回(小学校2020年/2018年先行実施、中学校2021年、高校2022年 各施行)は「ぐっと増える」という印象です。
学習指導要領に基づく英語教科書で学習する語数
ただし、この単語増に関して文部科学省は「受容語彙」と「発信語彙」の区別を意識して指導するように求めています。
「受容語彙」は読んだり聴いたりした時に理解できる語彙のこと、「発信語彙」は実際に話したり書いたりするときに使える語彙のことです。
つまり、4,000~5,000語すべてを使いこなして話をしたり、文章を書いたりできるようにすることまでは求められていないのです。
ある単語を聴いたり文中で読んだりする時、発音やスペリングがわかり、おおよその意味を知っていれば全体理解にほとんど支障がありません。
一方、その単語を使って話したり、文章を書こうとする時には、(ある程度)正確な発音とスペリングが必要な上、例えば動詞なら「目的語が必要だろうか」、「語の組み合わせは良いだろうか」、「前置詞は何がいいか」、「似た意味の単語との使い分けは良いか」など、その使い方について深い知識が必要です。
容易に想像できることですが、「受容語彙」の方が「発信語彙」よりも多く、一般には「受容語彙」のおおよそ半分ぐらいが「発信語彙」であると言われています。
もちろん、それぞれの人にとって二種類の語彙の線引きがくっきりとできるわけではなく、学習が進むにつれて少しずつ「受容語彙」から「発信語彙」に移っていきます。
「受容語彙」が4,000~5,000語ならば、2,000~2,500語ぐらいの単語が「発信語彙」になるはずです。
この2,000語というのは日常使用する英語の8割程度をカバーすると言われており、なるべく早い段階に発信できる語彙として身につけることを多くの学者が勧めている語数です。中学までに学習する語彙数とほぼ同様と言えます(教科書に登場する語彙の中には使用頻度があまり高くないものも含まれていますので、期間的には高校初級頃までに学習する語彙と考えられます)。
単語増に「怯えず」、まずは2,000語を使える語彙としてしっかり身につけ、さらに「受容語彙」を「楽しみながら」増やしていけると良いですね。