英語の勉強に映画を活用する方法|学習のポイントとおすすめ作品5選
2019.03.15
テクノロジーの発達によって、自宅のみならず移動中や休憩中などのちょっとしたすき間時間にも英語の勉強ができるようになりました。
そんななかでも、昔から有効とされる勉強法が映画や海外ドラマの鑑賞です。ネイティブが日常的に用いている英会話表現を自然と吸収できますし、楽しみながら学べるので英語学習の息抜きにもぴったりです。
今回は英語力を高めるために映画をどう活用するのか、そしてどんな映画が英語学習に適しているのかご説明します。
映画で英語を勉強するメリット
「映画を見るだけでは勉強にならない」と考えている人もいるかもしれません。まずは映画を通じて英語学習をすることにどんなメリットがあるのかお伝えしましょう。
作品を楽しみながら学習できる
最大のメリットは、楽しみながら学習できることでしょう。「勉強」と言うと、どうしても根を詰めて机に向かうイメージが浮かんでしまいます。しかし過度な集中力は長続きしません。ある程度リラックスした状態で学習に取り組むのは効果的です。その点、映画やドラマの鑑賞なら学習モードになりすぎず、楽にリスニング・スピーキングの練習ができます。
映画に感情移入すると、自ずと主人公やその周囲の人など登場人物の視点に立つと思います。このようにストーリーの登場人物の心情を理解しながら見ていると、英語のセリフもスッと入り覚えやすいです。
したがって「日常会話の練習になる」「頻出フレーズがたくさん学べる」という学習上の理由でそれほど好きでもない映画・ドラマを見るより、まずは面白いと感じられる映画を見るようにした方が英語の勉強になります。勉強が苦になりにくく、物語世界を深く理解できて英語学習のモチベーションも維持できます。
ネイティブの自然な英語を学べる
なかなか教科書や参考書には出てこないような、実用的なフレーズ・会話のやり取りを学べるのもメリットです。スラングや短縮表現、敬語など、相手の立場や場の雰囲気に応じて表現を使い分けなければいけないのは英語でも同じこと。映画やドラマだと、実際の会話から英会話の自然な流れやリズムをつかむことができ、聞いているだけで実践的な英会話のレッスンになります。
ただし、最初は会話が早くてなかなかついていけないと思います。音声が聞き取れない場合は、英語の字幕を表示させて発言内容を確認するのがよいでしょう。もちろんDVDや映像配信サービス(Hulu、Netflixなど)を利用すれば何度でも同じ場面を表示させることができるので、暗記するまで会話を繰り返し聞き込むのもおすすめです。
リスニングスキルが向上する
ネイティブスピーカー同士の英語の会話をたっぷり聞けますから、リスニングスキルがかなり上達します。どうしても教科書や参考書の英語は「きれいな英語」で、スピーキングのプロが癖や訛りのない聞き取りやすい発音で話してくれます。
こうした英語を聞き取れたつもりでいても、いざネイティブスピーカーと会話すると全く聞き取れなくて自信を失ってしまうケースもあるものです。映画やドラマの英語に慣れていると、日本人が日本語を話すのと同じように、いろいろな英語を話す人がいることを実感できます。
リスニングスキルは一朝一夕で鍛えられるものではありませんから、とにかく継続が重要です。英語字幕を活用し、会話の意味に集中して耳と頭をフル回転させるよう心がけてみてください。
英語圏の文化や習慣を知ることができる
ただリスニングスキルが身につくだけではなく、会話の背景にある英語圏の文化や習慣、歴史などといったバックグラウンドを知るのにも、映画やドラマは大変役に立ちます。
特にヒューマンストーリーやラブストーリーなど、個人のリアルな生活描写の多い映画だと、ネイティブスピーカーが無意識のうちに身につけている習慣や感性、文化などを垣間見ることがあります。そうしたバックグラウンドを理解していると、英語圏に旅行や留学で訪れたときに役立ちますし、英語圏の人々とのコミュニケーションのネタにもなるでしょう。
映画で英語を勉強する際のポイント
映画を見るときには楽しむことが大切ですが、それ以外にも英語学習の観点から大切と思われるポイントがいくつか存在します。ここでは、そうしたポイントをご説明して効率的にリスニングやスピーキングを身につけるお手伝いができればと思います。
英語の基礎力をつけてから映画を学習に活用する
映画やドラマを見る前に、基礎的な文法や単語力、リスニング力を身につけているのは大前提です。最近のリスニング教材では、ゆっくりした会話の音声も収録されていることが多く、初心者がリスニング学習を行うのに最適化されています。しかし、映画やドラマではそうした手加減は一切ありませんから、一定水準の英語力がないと全く聞き取れないはずです。
英語力の目安ですが、TOEIC® L&Rテスト言うと600点程度となるでしょう。難易度の低い教材をクリアして、中学・高校レベルのボキャブラリーやリスニング能力を身につけてから映画鑑賞に臨むとよいでしょう。
また、自分の英語レベルの段階に合った映画を選ぶことも重要です。SFや戦争映画、医療ドラマなど特定の業界でしか使われない専門用語が飛び交うストーリーだと、単語自体の難易度も高いため聞き取るのは難しいでしょう。子ども向けのアニメや単純なプロットのストーリー、そして簡単な表現の多い作品をおすすめします。
お気に入りの映画を教材にする
英語力のレベルとは別に、お気に入りのジャンルやストーリーを映画選びの基準にするのも一つの手です。
やはり映画自体を気に入っていないと、英語学習と言っても続けにくくなります。ラブストーリーが好きなら特にお気に入りのラブストーリー、アクションものが好きなら有名なアクションものなど、好きなストーリーの映画を一本選んで学習用に聞き込みましょう。
制作年や時代設定が新しい映画を選ぶ
最近制作された映画や、現代物の映画を選ぶようにしましょう。何十年も前に制作された映画や、歴史物の映画を選ぶと表現や単語が古いことも少なくありません。日本の時代劇でも「~ござる」「拙者~」などといったセリフ回しをしていますが、これと同じような英語を覚えても実用性は低いのです。
できれば30年以内に制作された映画を選んでください。30年以内であれば、一瞬で廃れたような流行語を使っていない限り問題ありません。
字幕を活用して学習する
リスニングの練習とは言え、やはり字幕を活用するのがコツです。学習目的であれば日本語字幕と英語字幕の両方がある映画を選びましょう。両方の字幕を見比べると、日本語に翻訳しにくいような英語独特の言い回しや、それをどのように意訳しているのかを理解できます。英語字幕がないときは、インターネット上でスクリプトを探してみてください。
英語字幕を表示させて、シャドーイング練習を取り入れるのもよいでしょう。字幕となっている英語をネイティブスピーカーがどう発音しているのか、逐次確認できるためです。
学習を繰り返す
「繰り返し学ぶ」というのが映像を活用した英語学習でも必要となります。音から英語の意味を身体で理解できるようになるまで、何度も何度も聞き続けるようにしてください。
ただしこうした学習法だと、映画全体をマスターするのには膨大な時間を要します。いわゆる名シーンのように、特に習得したいシーンだけをピックアップして学習するとよいでしょう。
英語学習初心者におすすめの映画5選
基本的には好きなジャンルの映画を選ぶのが一番なので、おすすめできる映画は人それぞれではあります。しかし広く初心者向けとしておすすめできる映画となると、やはりディズニーを中心としたアニメ作品でしょう。表現やストーリーがシンプルであり、有名なだけに初心者でもとっつきやすいです。
ここでは、その中でも特におすすめとなる作品を5つご紹介します。
アニメ
アラジン
砂漠の王国を舞台に、貧しい青年アラジンと王国の姫ジャスミンとの恋物語を主軸とした大ヒット作です。主題歌「A Whole New World」は今でもテレビなどでよく使われます。
よく知られたストーリーであり、英語版でも見ているうちに内容を思い出す人も多いのではないでしょうか。
主人公たちの話す英語は聞き取りやすく、一応歴史物ではありますが難解な表現や単語もほとんどありません。初心者が最初にチャレンジするのには最適な映画の一つです。
ファインディング・ニモ
こちらもアラジンに負けず劣らず人気の高い作品です。主人公のカクレクマノミが息子ニモを探して旅に出るというプロットで、もともと子どもをターゲットとした作品のため複雑な人間関係や心情の理解を必要としません。
会話の聞き取りに集中できるため英語学習にぴったりです。
トイ・ストーリー
劇場公開の長編アニメーションとして、初めてのフルCGで作られた作品です。アカデミー俳優のトム・ハンクスが主人公の声優を務めており、聞き取りやすい英語を話してくれます。劇中には実際のアメリカの中流家庭で人気となっているおもちゃが多数出てくることもあり、アメリカ人と話すときの格好のネタになります。
アナと雪の女王
日本では「アナ雪」の名で知られる大ヒット作品で、一時は小さな女の子がみんな主人公(アナとエルサの姉妹)の真似をしていたほどです。主題歌「Let It Go」も大ヒットしたため、「見たことはないけれど歌える」という人もいるのではないでしょうか。
まずは主題歌を聞き取ってスムーズに歌えるようになるだけでも、英語の勉強になります。
美女と野獣
アナと雪の女王が公開されるまで、ディズニー・アニメーションの中で最大の興行収入を誇っていたのが「美女と野獣」です。アニメーション映画として初めてアカデミー作品賞にノミネートされるなど、内容的にも高い評価を受けました。主人公ベルと野獣(Beast)のラブストーリーはもちろん、野獣のセリフからその鬱屈とした心情を読み取れるとリスニングがグッと楽しくなります。
英語を楽しく勉強する方法|無理なく着実に身につけるポイントとは?映画から『使える英語』を楽しく学ぼう!
英語学習の中心は教科書や参考書、あるいはアプリなどですが、たまには息抜きとして映画のセリフを聞き取る練習も役に立ちます。有名作品であれば、英語圏の人との話のネタにもなります。自分のリスニング力を試す意味でも、映画やドラマを鑑賞してどれくらい聞き取れるかチャレンジするとよいでしょう。