結婚、おめでとう!
2017.06.09
6月、欧米では結婚の守護神ジュノーがつかさどるこの月に結婚すると幸福になれるという言い伝えがあります。これが、日本でも言われる「ジューン・ブライド」の起源です。日本の梅雨と違って、英国の6月は暖かくなって、日も長くなり、庭園の花が美しく咲き始めます。この美しい季節、英国では、たくさんのカップルが屋外で結婚パーティを催します。
さて、あなたが英国で友達の結婚式に呼ばれたとしましょう。花嫁に会ったら、まっさきに「おめでとう」と言ってあげたいですよね。「おめでとう」を英語にすると、真っ先に浮かぶのは“Congratulations”でしょうか。でも、ちょっと注意が必要なようです。
和英辞典で「おめでとう」を調べてみると、「Congratulations:結婚の祝辞の際には、新郎へ贈る言葉。新婦には“Best wishes for happiness”等がふさわしい」と注釈がありました。なぜでしょう?これには、諸説あるようですが、ここでは2つの説をご紹介します。
1つには、かつては英国でも男尊女卑の考え方が一般的であり、祝いの言葉は新郎のみに向けられるもの。新婦には特に言葉をかける習慣がなかった。
2つ目は、Congratulationsという言葉には、「苦労や努力をして手に入れたこと」に対するねぎらいの意味が込められており、新婦に対して使うのは失礼だから、ということです。また、「Congratulationsは婚約した男女に使うものであり、結婚式当日や以後にはBest wishesやGood luckを使う」と出ている和英辞典もありました。
さて、確認のために同僚のイギリス人に聞いてみると、「そんな話は聞いたことない」と一言。他の同僚に聞いても、「私は花嫁にもCongratulationsって言うわよ。気にしたことないわ」とのこと。手近の英英辞典を引いてみると、確かに花嫁向けだとか花婿向けだとか、そんな注釈は入っていませんでした。
言葉は生き物。年々、形を変え、時には本来の意味さえ失ってしまうものです。恐らく、かつて言い伝えられていた習慣を和英辞典が取り上げ、現在もそのまま掲載されているのでしょう。
ですから、今のイギリス人の若者同士の結婚であれば、男女関係なく“Congratulations!”で構わないようです。
ただし、おじいちゃん、おばあちゃんがいる前では、ちょっと気をつけた方がいいかもしれませんね。花嫁の背後におばあちゃんが控えていたら、“Congratulations”以外で「おめでとう」を伝えましょう。言い回しはたくさんあります。
“I'm happy for you.”“Good for you.”“You have my blessing.”“Half your luck.”“I wish you joy.”“God give you joy.”など、ぜひ覚えて使ってみてください。