英会話の発音スキルを高めるには?効果的な練習方法と継続のコツ
2018.08.31
ある程度リスニング能力や単語・文法の知識があっても、発音に苦手意識を感じている人は少なくありません。「うまく発音できない」と緊張するあまり、ネイティブと話すのを避けてしまったり英語学習自体をあきらめてしまったりするケースもあります。
しかし逆に考えれば、発音スキルさえ高まれば自分の英会話に対する自信も高まり、物怖じすることなく英語を使ってネイティブとやり取りできるはずです。今回は発音スキルを身につけるための効果的な練習方法、そして地道に継続するコツについて解説します。
英会話における発音の重要性
英会話スキルを上達させるうえで、発音の重要性は決して無視できるものではありません。もちろん完全にネイティブと同レベルでなくてもよいのですが、それでも発音がよいほどコミュニケーションは円滑になるでしょう。
発音をよくするには、「リスニング・スピーキングの円滑さ」、「自分のメンタル」、「上達スピードの向上」という3点がキーワードです。
コミュニケーションが円滑になる
発音がよくなるとネイティブとのコミュニケーションをより円滑に進めることができます。
発音がたどたどしいとネイティブから聞き返されたり誤解されたりする可能性がある一方で、発音スキルが高ければ自分の英語が相手に伝わりやすくなります。またネイティブの発音も理解できるようになるので、結果としてコミュニケーションが円滑になります。
英語でのコミュニケーションが円滑になれば、ビジネスでもプライベートでもリレーションがはかれます。ネイティブの発音で英語を話せればネイティブからの信頼も得やすくなるでしょう。
英会話に自信が持てる
発音の上達は、自分のメンタルにもよい影響を与えます。英語のことが好きになることが上達の鍵。
発音の問題が改善されると、自分でも英会話に自信が持て、英会話を学習するモチベーションも高まります。ネイティブに自分から英語で話しかけることの抵抗感も薄れ、より積極的に会話したい気持ちが強くなるでしょう。
日本人の中には英語で話すことを恥ずかしがる人が数多くいます。その要因の一つに「自分の発音でわかるだろうか」という自信のなさの現れがあります。発音が上達すれば、英会話に対する気後れがなくなります。
英会話の上達が速まる
発音の学習は、英会話全体の上達を促します。
発音を学ぶにはネイティブの英語を何度も聞いて声に出す必要があります。そうすることでリスニング力やスピーキング力の向上に繋がります。またただ耳に入る音をなぞればよいわけではなく、英文の意味を理解して声に出しましょう。すると語彙力や読解力も身につくはずです。
発音学習は英語の4スキル(聴く、話す、読む、書く)をまんべんなく伸ばすという総合的な学習です。リスニングやスピーキング、リーディング、単語学習などを単体で学習するよりも効率的です。
英会話の発音スキルを磨く方法
それではどのように発音を学べばよいのでしょうか。もちろんただひたすらネイティブの話す言葉を真似しても上達はするものの、より効率的に身につけるには発音の理屈の理解→短文の発音練習→少しずつ文の長さと量を増やす…というように、ステップを踏むやり方もあります。
ネイティブの発音の特徴を押さえる
まずネイティブの発音に見られる特徴を理解しておきましょう。日本人が発音しにくい音、区別しにくい音など、音の変化を知ることが大切です。そのひとつにリンキング(リエゾン)があります。
・リンキング(リエゾン)を意識する
リンキング(リエゾン)とは、前後に並ぶ英単語の音が連結して別の音になることです。正確には前の単語の終わりの位置が子音だった場合に、直後の単語の最初に置かれた単語と連結する現象を指しています。ネイティブは単語を一語ごとに区切って発音しません。
・イントネーションやリズムに慣れる
リンキングをある程度理解したら、次はリスニング学習を通じて英語のイントネーションやリズムに慣れる段階に入ります。
単独の発音や文章の組み立て(文法)は間違っていなくても、リズムやイントネーションが異なるだけでネイティブには違和感のある英語に聞こえます。時にはそれだけで通じなくなってしまうケースもあるのです。
したがって、フレーズの強弱や速さを意識することが発音学習の範疇に含まれます。まずはリスニングの段階からイントネーションやリズムを意識するようにしましょう。
英語特有の発音を練習する
次は実際に自分で英語を注意深く発音して癖を直していく作業に入ります。特に日本語にはなく英語特有の発音に集中して練習しましょう。
特に気をつけるべきが「R」「TH」「V」「F」あたりです。いずれも日本語では表記しにくい発音であるとともに、多くの日本人が不得意な発音とされています。自分の発音を録音してネイティブの発音と聴き分けるなど、注意深く練習を積み重ねる必要があります。
リピーティングをする
リンキング(リエゾン)やイントネーション、リズムを身につけるためにも、複数の単語を組み合わせた文を音読する練習が必要です。これを「リピーティング」と呼びます。
リピーティングとは一文(あるいは長文のキリのよいところまで)聞いた後で、同じ文を繰り返して読む練習方法です。最初は「これだと簡単すぎないか?」と思うくらい短い文章で練習し、少しずつ聴く/声に出す文を長くしていくのがおすすめです。
これは発音やスピーキングを向上させる練習方法であるのはもちろん、リスニングの向上にも効果があります。リンキング・イントネーション・リズムといった、英語を聞き取るのに必要な要素を身につけられるからです。
オーバーラッピングをする
リピーティングの次はネイティブの話す速度に慣れるための「オーバーラッピング」をやってみましょう。
オーバーラッピングとは、リスニング教材を使って英語の音声を流しつつ、英文のスクリプトを音声と同じ速度で音読する練習法です。やはりリスニング、スピーキング、リーディングの各スキルを同時並行して鍛えられます。
ただしリピーティングよりも難易度は高いので、最初はなかなかネイティブについていくことはできないはずです。頭の中で瞬時に処理する情報量が多いのでなかなか大変です。それでも繰り返し行うことで精度が上がりますので、まずは短文から地道にチャレンジしてください。リピーティングがしっかりできていれば、オーバーラッピングできるようになるのもそれほど時間はかかりません。
シャドーイングをする
最後にシャドーイングにチャレンジしましょう。
シャドーイングはCDや英会話講師の発話から少し遅れて、影(シャドー)のように発音を真似するトレーニングです。一見オーバーラッピングと似ていますが、少し遅れるだけで難易度はさらに高くなります。シャドーイングによって英語のイントネーションやリズムをつかみやすくなります。
難易度が高いだけに、シャドーイングはオーバーラッピングに慣れてから取り組むことが大切です。
発音学習を継続するコツ
言語は一朝一夕で上達するわけではありません。スポーツの動きを身につけるのに数ヵ月単位の時間が必要であるのと同様に、なめらかに発音できるようになるのも長い時間がかかります。
しかし学習を継続するには、自分のモチベーションを維持する方法が必要です。ここではその方法を4つご紹介します。
①目標を決める
まずは目標を決めることです。目的意識を持って取り組むのが重要であるのは、発音練習でも変わりません。ただし「ネイティブのように発音する」のように、あまりに遠く達成困難な目標を定めるのはおすすめできません。目標に近づいているのか実感しにくくなるため、途中で挫折してしまう危険性が高いからです。
コツは達成可能なレベルの目標を設定することです。たとえば「ネイティブに聞き返されない」「ゆっくり話せばネイティブにも通じる」など、現在の自分のレベルから遠すぎない目標がよいでしょう。自分がどのレベルを目指すのか、自分の現在のレベルはどこなのかを明確にすることでモチベーションを保ちやすくなります。
②段階的に目標を設定する
達成可能で段階的な目標を設定するのも学習継続のポイントです。
発音の上達は練習の積み重ねでしか実現できません。レベルアップを実感しやすくするためにも、目標達成までの過程を細分化して、自分に合った「小さな目標」を定めることです。たとえば「今日は例文をうまく発音できるようになろう」「今月の終わりまでにテキストの半分までシャドーイングできるようになろう」など、具体的で細分化された目標を決めていきます。
すぐに諦めて目標をコロコロと変更しないようにしましょう。レベルが高すぎるようであれば段階的な目標を立てて一つずつクリアすることを心がけてください。「一歩ずつ前へ進んでいるうちに、最終的な目標を達成できていた」というのが理想です。
③自分の発音を録音して聞き返す
ぜひ自分の発音を録音して聞き返し、お手本とどう異なるのかチェックしましょう。
自分の発音を客観的に聞いてみると、発音していた時のイメージと大きく異なっていることが分かると思います。「Rの発音がLに近くなっている」「リズム感はよくできている」など、現在の状態を冷静に把握できます。
録音に使うツールは携帯電話やスマートフォンの無料の録音アプリでよいでしょう。ICレコーダーよりも音声品質は下がるかもしれませんが、発音練習で聴き取るには十分な音質です。
④定期的に練習の成果を試す
部活動の成果を試すのが試合の場であるのと同じように、発音練習でも「定期的に成果を試す場を設ける」のがおすすめです。
・国際交流会
まず外国人が多く集う国際交流会が考えられます。多くのネイティブスピーカーと実際に話すことで、英会話の経験が積めます。もちろん発音が通じるかどうかを試す場でもあります。
交流会でネイティブとの交友関係ができれば、さらなる英語力の向上につながるでしょう。会話はもちろん、チャットでも英作文(ライティング)の練習になります。
・英会話教室・スクール
英会話教室・スクールも実践の場です。ただ通じるかどうかだけでなく、ネイティブ講師が聞いて不自然でないか、フィードバックをもらえるのは貴重です。その意味で英会話を非英語圏の人に教えるスキル・経験を持った講師がよいでしょう。
シェーン英会話では、英語指導の国際資格を持った講師が多数おり、適切な指導・サポートをしてもらえます。正しい文法を学びながら自然な表現を身につけられることを目指します。
段階的な発音練習で総合的な英語力を身につけよう
発音スキルを身につけるのはそれほど簡単ではありません。単語や文法を覚えれば身につくわけではなく、知識と反復練習によって身体にネイティブの英語の発音をしみこませる必要があるからです。
しかしそれと同時に、練習するほど上達を実感しやすいスキルでもあります。また英語の4スキルをバランスよく身につけられるので、毎日少しずつでも時間を作って日常生活に発音練習を取り入れてみましょう。