ビジネス英語の勉強法とは?スキル向上のポイントと隙間時間の活用法
2018.07.06
国際化に伴い、ビジネスシーンで英語の能力が求められる場面が増えてきました。英語が公用語に指定されている企業はまだ少ないものの、海外に支店があったり、外国人を従業員として雇用している会社にお勤めの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
取引先との連絡や交渉などで求められるスキルは中学校、高校で学ぶ英語とはかなり異なります。この記事ではビジネス英語の勉強法についてご紹介したいと思います。
ビジネス英語の特徴
ビジネスシーンで求められる英語には、日常会話とはどのような違いがあるのでしょうか?ビジネス英語の特徴を具体例と共に解説いたします。
フォーマルな表現を使う
義務教育で習う英語は旅行や留学・国際交流など、日常生活で使うことを前提にしているため、カジュアルな表現が多いです。しかしビジネス英語ではフォーマルな言葉遣いが求められます。日本語の敬語ほど繊細なニュアンスは英語にはありませんが、それでも学校では習わないような便利な言い回しは実はたくさんあります。洗練された表現を身につけて日本人らしい礼儀正しさを英語でも表現できるようになりましょう。
Please kindly find the attached list of the whole assortment of our products for your reference.
Attached is the list of our whole product assortment for your reference.
「添付の弊社の商品リストをご覧ください。」
For your reference は「ご参考までに」という意味で、よく使うので覚えておきましょう。
Should you need any further information/assistance, please do not hesitate to contact us.
「他に必要な情報やお手伝いがございましたら、ご遠慮なく弊社までご連絡ください。」
Should you は if you と同じ意味ですが、ビジネスシーンでしか用いないような格式高い言い回しです。一方、日本語で「弊社」とへりくだるところは、英語では単純に we を使うところも面白いですね。
If you require further assistance, please contact…
「さらにお手伝いが必要でしたら、~までご連絡ください。」
上に挙げた表現ほどかしこまってはいませんが、こちらもメールなどでよく使われます。
In regards to your inquiry,
「お問い合わせの件についてですが、」
With reference to your email,
「頂いたメールについてですが、」
Concerning…/Regarding…
「~についてですが、」
これらも、ビジネスレターでよく使われる表現なので頭に入れておきましょう。
遠回しな表現を交える
英語圏の国々では、普段の会話や学校のディスカッションなどで自分の意思をダイレクトに示すことが評価される一方、ビジネスシーンでは断定を避けるシチュエーションが多くあります。仕事で英語を使う人は、やんわり肯定、否定するときの表現を覚える必要があるでしょう。
I am afraid we do not offer the product you are asking for.
I am sorry but we do not offer the product you are asking for.
「恐れ入りますが、お問い合わせいただいた商品は取り扱っておりません。」
どちらも、希望に添えず申し訳ない、というビジネス英語でよく使う表現ですが、前者のほうがよりフォーマルな印象があります。
I regret to inform you that we are unable to…
「大変申し訳ないのですが、~することはできません。」
こちらは、相手から依頼されたものを断らなくてはいけないときに使われる表現です。
I would appreciate it if you could send me the invoice by the end of this week.
「今週末までに請求書を送っていただけると、大変助かります。」
I would appreciate it if you could は、日本語で「お忙しい中恐れ入りますが」というフレーズを使うような場面で、相手に何かをお願いするときの丁寧な表現です。
I would be glad to send you an invitation.
「招待状を送付させていただきます。」
英語では、「喜んで~したい」という表現を用いて、相手への尊敬や歓迎の気持ちなどを表現します。
専門用語が多い
日本語でもそうですが、会社での会話やメール、報告書などはそれぞれの業界でしか使われないような専門用語が多く出てきます。日本語では初めて目にする単語でも漢字を見ればなんとなく意味を予想することができますが、英語ではそうはいきません。自分の業界の専門用語は、英語でもすぐに出てくるように準備しておくとよいでしょう。株や会計、広告、マーケティングなど、特に金融関係の仕事に就いているかたは要チェックです。以下に、よく使われる金融用語をまとめました。
accounts receivable 売掛金
Consumer Price Index (CPI) 消費者物価指数
default on (or nonfulfillment of) an obligation 債務不履行
depression 不景気
discount rate cut 公定歩合の引き下げ
monetary easing policy 金融緩和政策
foreign currency deposit 外貨預金
futures quotations 先物価格
General Account Budget 一般会計予算
interest rate policy 金利政策
investment trust 投資信託
level of interest rates 金利水準
margin transaction 信用取り引き
official discount rate 公定歩合
price fluctuation 物価変動
public enterprise 公共事業
reconstruction (or rebuilding) of the economy 財政再建
secured loan 担保付き貸付
Special Account Budget 特別会計予算
trust deposit 信託預金
ビジネス英語を上達させるポイントとは
このように会社で使う英語は、普段のカジュアルな会話で使う英語とは大きく異なることをご説明しました。正確な文法と難しい語彙力が求められるビジネス英語ですが、仕事がある方は特に毎日何時間も英語学習に割くことはできないと思います。そこで短期間で集中して英語力を上達させるポイントを5つご紹介します。
①目標を持つ
語学を学ぶ上では明確な目標を持つことが大切です。皆さんは英語を上達させてどうなりたいと思っていますか?
例えば丁寧で実用的なメールや電話応対の仕方を学びたいという方は、覚えた表現を実際に使うときにすぐに口から出てくるように、自分用の「台本」のようなものを用意すると便利です。
自分の意思を英語で明確に伝えられるようになりたいという場合は、普段から日本語で自分が話している内容を「英語ではどう言うのだろう」と考えながら生活をするという工夫ができます。
いつか海外で働きたいという人は、英語でプレゼンテーションをする練習をしたり、会議で使う表現を集中的に勉強したりするのがよいでしょう。このように目的を明確にすることで嫌々ではなく納得して机に向かうことができます。
②弱点を見つける
自分にあった勉強法で効率良く学ぶもうひとつの方法は、弱点に気付くことです。語学はスピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4つの角度からアプローチしますが、どれが一番苦手なのかを知ることで時間短縮につながるだけではなく、達成感や自信も生まれます。
日本人は一般的にリーディングとリスニングが得意で、スピーキングとライティングが苦手な傾向があります。これは、学校でインプットを重視して教育をされることや、自ら進んでコミュニケーションをとることに苦手意識を持つ人が多い国民性が原因であるといわれています。
さらにアウトプットはそれを聞いてくれる、読んでくれる人がいないとあまり練習にならないというのも理由のひとつです。自分が特に苦手なものを見つけて集中的に学習してみるとよいでしょう。
また文法や語彙力・発音など、自分の英語の能力に何が欠けているのかを見極める必要もあります。英検®やTOEIC® L&RテストやTOEFLなどの過去問を、事前の勉強なしでいきなり解いてみるのも、実力を試すことができるのでおすすめです。
特に文法はカジュアルな日常会話とは異なり、ビジネス英語ではルールに従った綺麗な英語を使うことが求められるので、基礎英文法はしっかりと押さえておくようにしましょう。
③英語でアウトプットする
いくら新聞やラジオを理解できても、自分の意見を相手に伝えることができなければ意味がありません。英語圏の国で生活していない私たちは、どうしてもインプットが多くなってしまいますが、実際に評価されるのはいかにアウトプットができるかです。スピーキングやライティングを通して、考えやアイディアを英語で上手に表現できるようになる必要があります。
英会話教室などに通い講師と1対1で対話することで、英語で話しやすい分野や逆にスムーズに出てこない表現などを知ることができます。ライティングの教材や日記などで英作文を行い添削してもらうのも表現力上達の近道です。
④継続する
語学力は一朝一夕に身につくものではありません。日本語に囲まれた環境で育った私たちでも、大人と同じように話したり書いたりできるようになるのには20年近くかかったと思います。英語環境が周りにない人は特に地道に努力することが大切です。1日15分など、短時間でもいいので毎日英語に触れるようにしましょう。
続けるための工夫としては、週末に次の一週間分の学習計画を作成したり、1日に全分野をするのではなく、先ほど挙げた4分野を7日間にうまくふりわけたりするのが効果的です。
⑤定期的に英語のレベルを確認する
英検®やTOEIC® L&Rテストを数ヵ月に一度受けるのも、モチベーションを維持するために役立ちます。自分でお金を払って申し込んだ試験日が近づくことで、勉強の励みにもなりますしスコアに変化が見られると学習の後押しや自信向上につながります。
ビジネス英語を上達させる効果的な勉強法
語学学習は語彙力や文法・発音など、バランスのとれた能力を身につけることが大切です。ここでは、英語学習のポイントをリスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4項目に分けて、おすすめの勉強方法と自分に合った教材を見つけるポイントをご説明します。自分の苦手な分野を重点的に始めてみて、波に乗ってきたらバランスよく英語力を伸ばすように気をつけるのがポイントです。
リスニング
リスニングは、CDなどの音声が付いている教材や、台本がネットで読める映画など、活字と音声が揃ってさえいればどんなものでも大丈夫です。リスニング力アップの秘訣としては、最初にスクリプトを見ずに音を聴き、そのあとにスクリプトを確認することで自分が聴き取れなかった箇所がはっきり分かるので効果的です。
聞き流しの教材がよいという情報を聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、話している内容の8割以上理解できない場合は意味がありません。料理をしている間や就寝前のウトウトしているときなど、意識が教材に向いていない環境でただ聞き流すのもあまり効果はありません。
短期間で効率良く学ぶためには、スクリプトと音声がそろった状態で学習するのが一番です。
リスニング力がある程度ついてきた方はラジオやポッドキャストなどを聞いてみて、実力試しをしてみるのもよいでしょう。 ディクテーションをするとスペリングや文法なども同時にチェックできるので、時間があるときにぜひ試してみてください。
スピーキング
スピーキングは会話をすることで鍛えられるので、独学だけで上達させるのは難しいです。自分でできる練習方法としてはシャドーイングや頭の中で英作文を瞬時にする練習に特化した教材、便利なフレーズを集めた教材などが挙げられます。
様々なフレーズを身につけたら、英会話教室やオンライン英会話、英会話カフェなどに行って実際に使ってみましょう。
英会話教室は金額が高いため踏みとどまってしまう人も多いようですが、英語教師として専門的に訓練されたネイティブと1対1(マンツーマン)で話せる利点があります。オンライン英会話は英語を母国語として話す人とスカイプを通して会話をするもので、生身の人間と直接話せないもののコストを大幅に抑えることできます。
一方、オンライン英会話で教えている先生は、ヨーロッパや東南アジアなどの出身の先生が多く、英語に訛りがあることが多いです。発音をあまり気にせずとにかく話す練習をしたいという方には合っていますが、綺麗な発音や正しい文法を身に付けたい方は、アメリカやイギリスなど英語が第一言語になっている国の先生についてもらうようにしましょう。
英会話カフェは英語を使いたい日本人と、日本人と交流がしたい外国人が集まる場で、複数の人間と会話をする訓練にはうってつけです。友達を作ることもできるので楽しく学べる利点もあります。
リーディング
ビジネス英語を磨きたい方は、英語のニュースサイトを読むのが一番手っ取り早い方法ではありますが、やはり使われている単語が難しく断念してしまう方もいらっしゃるようです。そこで、子ども向けの簡単な英語で書かれたニュースサイトを毎日読んでみたり、シンプルな英語で書かれていて自分が興味の持てる内容の洋書を読んだりするとよいでしょう。
子ども用の絵本なども簡単な英語で書かれているのでおすすめではありますが、内容が幼稚すぎてすぐに飽きてしまうという方も少なくありません。児童文学に興味のある人以外はつまらなく感じてしまうようです。
英語に限らずどの語学でも自分の語学のレベルと、興味を持てるトピックに差が生じてしまうのが大人の学習者のつまずくポイントのひとつでもあります。そこで大人でも楽しめる内容でありながら英語自体は簡単に設定されているレベル別の速読用洋書がおすすめです。
文章の構造をつかむことを意識して読むと文法力アップにつながりますし、何度も読み返さず一度に理解する練習をすれば、リスニングのときに一度しか流れない音声を一回で聴き取ることができるようになります。ただし毎日無理なく続けるためには、最低限の英文法は押さえておく必要があるので、中学・高校レベルの文法に自信のない方はまずはそこから復習してみてください。
ライティング
ライティングは添削が一番重要です。
解説がしっかりと充実しているライティングの教材を使うと日本人が間違いやすい表現やネイティブスピーカーがよく使う表現を学ぶことができます。ビジネスシーンに活用できそうな教材を選ぶとすぐに実践することができます。
ライティングを添削してもらうのは、オンラインやメールでもできなくはないですがやはりその場に先生がいて質問できる環境で見てもらうのが一番効果的です。目の前で自分のミスを指摘してもらうことで頭にも入りやすく、本当に自分が言いたかった微妙なニュアンスを先生に伝えて、より自然な言い回しに直してもらうのも一対一で見てもらった方がずっとやりやすくなります。
また、パソコンの画面上で修正するよりも、行間を広めにしてプリントアウトしたものを持っていき、それを添削してもらうことで、自分のミスと正しい言い回しが一目瞭然になるので将来復習もしやすくなります。
隙間時間を活用したビジネス英語の勉強法
忙しい社会人の語学学習の重要要素は「隙間時間をいかにうまく活用できるか」にあります。会社と家の往復の生活を送っている方もうまく時間を作れば短期間で大きな成果をあげることもできるはずです。
移動時間に勉強する
通勤時間などの隙間時間を活用して勉強するときにおすすめなのが学習アプリや英語のニュースサイトです。教科書などは目の前にスペースが必要ですし立った状態で勉強するのは困難ですが、スマートフォンを使って学習できれば電車の中でもすぐに勉強モードに入りやすいです。
また英検®などの対策本として売られている単語帳も狭いスペースで読むことができるので通勤途中の学習には比較的向いているといえるでしょう。音声教材が付属で付いていれば自分流の間違った発音で覚えてしまうことも防げますし、乗り換えや徒歩で移動中も流しっぱなしにできるので便利です。
日本語と英語はかけ離れた言語なので、細かいニュアンスや文中での使い方が異なる場合が多いです。そのため単語帳は例文が付いているものを選ぶようにしましょう。語学力を上げたい方は、通勤時間をうまく活用してみてください。
会社帰りに英会話教室に通う
ビジネスで英語が求められる現代では、社会人が会社帰りにも通えるように夜遅くまで空いている英会話教室が増えてきています。退社後の時間を充実させることもできるので、通勤ルートに英会話教室がある方はぜひ試してみてください。
英語を学んで夢をつかもう
ビジネス英語を勉強する方法やコツをご紹介してきましたがいかがでしたか?
現在仕事で直接英語を使わない方も語学を身につけることは将来の可能性を広げる大きな第一歩になります。仕事で日本に来ている外国人も増えているので、英語を話すことができれば多様な文化背景を持った人との交流を始めるチャンスにもなりますし「いつか海外支店で働いてみたい」「ワーキングホリデーで異国の地でビジネスを始めてみたい」などご自分の夢を追いかけるきっかけにもなるでしょう。
ぜひ皆さんも英語を学んで未来の自分に投資してみてはいかがでしょうか?